一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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性,ジェンダー(OP-0401~0406)

笠井直美(新潟大学)

[OP-0406] 知的障害児へのセクシュアリティ教育に関する調査研究―児童生徒の恋愛行動の実態と養護教諭の対応に着目して-

高田千鶴1,2, 郷間英世2 (1.山口県立大学 看護栄養学部 看護学科,姫路大学 大学院 看護学研究科 博士後期課程, 2.姫路大学 大学院 看護学研究科)

【目的】本研究では,学校内で見聞きする恋愛行動を調査し,知的障害のある児童生徒の恋愛行動の特徴をつかむことを目的とした.
【方法】養護教諭320名を対象にした質問紙調査を行い,養護教諭が学校内で過去1年間に見聞きした「児童生徒の恋愛行動(11項目)の有無」とその時に「養護教諭が抱いた感情と対応」で,京都教育大学研究倫理委員会の承認を得て行った.
【結果】養護教諭111名(34.7%)から回答があり,106名を分析対象とした.養護教諭が見聞きした恋愛行動は,「近づく,ちょっかいをかける」84.0%,「好きな人の前で,恥ずかしそうにしている」75.5%,「好きだと言う」65.1%の順に多かった.養護教諭が抱いた感情は,「恥ずかしそうにしている」「好きだと言う」では,心配よりも喜びが多く,「近づく,ちょっかいをかける」「手をつなぐ」「キスをする」では心配が多かった.養護教諭が見聞きした恋愛行動への対応は,「近づく,ちょっかいをかける」に対し「他の教員と話し合いをもつ」48.3%,「恥ずかしそうにしている」「好きだという」に対し「気持ちを尊重し,見守った」(それぞれ85.0%,44.9%),「手をつなぐ」「キスをする」行動に対し「きつく注意してやめさせた」(それぞれ10.8%,10.0%)と答えた.
【結論】児童生徒には多様な恋愛行動が見られた.養護教諭の抱いた感情は心配が多く,主な対応は「他の教員と話し合いをもつ」であった.話し合い後,どのような対応に至ったのかについて,今後,詳細の調査が必要である.