一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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健康教育,ライフスキル4(OP-0515~0518)

高倉実(琉球大学)

[OP-0517] 「いじめ場面における目撃者のいじめ認知の生起要因に関する検討」

五十棲計1, 大平雅子2 (1.株式会社イヴケア, 2.滋賀大学教育学系)

【背景】いじめの重大化を防止する上で,目撃者の援助行動は重要な役割を持つ.援助行動が生起されるには,目撃者が目撃した場面をいじめであると認知する過程が必要だ.そこで本研究では,目撃時の感情要因がいじめの認知及びその後の援助行動の生起とどのような関連があるか検証することを目的に質問紙調査を行った.【方法】質問紙調査は,大学生及び大学院生389名(有効回答率97.0%)に対して行った.対象者には,いじめ場面を提示し,提示された場面に対するいじめ認知の有無を回答させた.また提示された場面に登場する「加害者」「被害者」に対して,自身の感情を,怒り・同情・脅威・正当性の4項目,10段階で評価させた.最後に,対象者が提示された場面に出会ったとき,援助行動を選択するか否かを確認した.【結果】ロジスティクス回帰分析を用いて,いじめ認知の有無,被害者・加害者に対する感情,対象者の援助行動意図の有無の関係性を分析した.その結果,いじめの認知は, 「加害者に対する怒りの程度」によって促進され,「加害者の言動に対する正当性の認知の程度」によって抑制される傾向を示した.【考察】本研究の結果から,いじめ認知は,被害者よりも加害者の言動に対する感情要因によって,生起の有無が決定することが示唆された.そのため,実際の学校生活でも,いじめの認知を促していくためには,被害者への共感よりも,加害行動についての定義や理解を深めていく必要があると考えられる.