一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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健康相談,健康相談活動,保健指導(OP-0701~0705)

遠藤伸子(女子栄養大学)

[OP-0705] 痛みを表すオノマトペがもつ性質の相違-語基「ずき」をもつ5種類のオノマトペを比較して-

海老澤京佳 (茨城大学 大学院 教育学研究科 養護教育専修 養護教育専攻)

【目的】「ズキズキ」等の痛みを表すオノマトペは,簡素かつ直接的な表現である上,痛みの量と質を合わせて表すことができる.しかしながら,オノマトペは感覚的な言葉で使用には個人差がある.本研究では,痛みオノマトペの性質や差異,使用傾向を明らかにする.
【方法】語基「ずき」をもつ5種類を対象とした.
1)文献研究
オノマトペの定義や性質,分類等を調査した.
2)データベース検索
コーパス「中納言」で各オノマトペの被修飾語,主体および対象,原因等の出現数を取り上げた.
【結果】1)ずきずき
痛みが「反復,継続,連続」すると共に,拍動性を表す.痛みは強く,奥の方に生じる.痛みの原因は頭痛が最多で,最も一般的である.
2)ずきっ
「スピード感,瞬間性,急な終わり方,変化性」を表し,一回かつ鋭い痛みである.「ずきん」にも近いが,それよりはスピード感の要素が基本的に強い.
3)ずきり
痛みが生じたのちの状態である直前の過去を描写した「完了」や,痛みが一回であっても瞬間ではない「ゆったりした感じ」の性質をもつ.
4)ずきん
一度の痛みが終結し,じんわりと余韻を残している「共鳴」を表し,鈍重な痛みである.精神的刺激に用いられることが多い.
5)ずきんずきん
痛みが終結し余韻を残している「共鳴」とその痛みが「反復,継続,連続」することを表す.痛みは「ずきずき」に比べより深く強い.
【結論】無意識で使っている痛みオノマトペだが,無意識の中でも言語の規則に基づいて選択をしていることが明らかとなった.