一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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特別支援教育/インクルーシブ教育(OP-1101~1105)

鎌塚優子(静岡大学)

[OP-1104] 医療的ケア児の支援における多職種連携システムの構造パターンの分析 ~多職種連携における養護教諭の役割検討~

新開奏恵, 横山正博 (山口県立大学 大学院 健康福祉学研究科)

【目的】公立学校に在籍する医療的ケア児の支援における多職種連携の構造パターンを分析する.さらに,多職種と養護教諭の連携内容や養護教諭に期待する役割等の抽出を行う.【方法】医療的ケア児の支援に対して学校と協議する場の設置を行っている4機関9名に半構造化面接を実施した(2019年8月から10月).学校との連携の経緯・構造・内容や養護教諭との連携の内容,連携の成果について整理し比較検討した.【結果】教育委員会が主体の機関では,公式性は高いが相互関係性においては連携が協力や調整に留まっていた.訪問看護が主体の機関では,訪問看護システムの中に,学校での医療的ケアを組み込むことで連携が公式性の高い協働チームアプローチへと変化した.連携の課題点は,学校での連携が報告・情報提供に留まっており,協働やチームアプローチに発展しづらいことや,養護教諭との関わりが少なく,自己管理のための保健教育や周囲の児童への働きかけなどの情報共有が行われていないことであった.養護教諭に期待する役割として,医療的ケア児の心身の変化の察知や自己管理に向けた自立活動,周囲の子どもへの疾患に関する教育,校内での情報の発信・共有や校外の情報を取り込むことなどが挙げられた.【考察】養護教諭が連携のキーパーソンとなることで,連携が情報共有から協働によるチームアプローチへ発展することが期待される.