The 68th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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一般演題(ポスター)

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P56~P61 メンタルヘルス2

座長:渡邉 正樹(東京学芸大学)

[P-57] 小学校から中学校への移行に伴う内在化・外在化問題の変化

岩田 昇1, 佐伯 いずみ2 (1.桐生大学 医療保健学部 看護学科, 2.広島市スクールカウンセラー)

Keywords:内在化問題、外在化問題、小中移行期

【目的】児童生徒の10人に1人が何らかの情緒的・行動的問題を抱えていると報告されている。そこで我々は、通常学級に通う児童の内在化・外在化問題傾向が、中学校への移行に伴いどう変化するのかを明らかにすることを目的とした。【方法】公立小学校5・6年生に1年間隔で2回の自記式質問紙調査を行った(n = 129)。調査票は日本語版Strength and Difficulties Questionnaire (SDQ)・ライフスタイル・学校および家庭満足度・親子関係などの尺度で構成された。【結果】反復測定分散分析では性別の効果が有意ではなかったために、男女込の数値を示す。小5→小6への追跡群(n=76)における外在化問題尺度のスコア変化(差分平均)は、「問題行動」-0.19、「多動・不注意」-0.05と6年生になって問題が治まる傾向にあったが、小6→中1への移行群(n=53)では順に+0.74、+0.69と、中学校移行に伴い問題が顕在化していた。これら2尺度の時間x群の交互作用は有意だった。内在化問題2尺度では変化の状況は異なっており、「仲間関係問題」ではそれぞれ-0.55、+0.03と、小6で治まり中1でも変わらないのに対し、「情緒不安定」は+0.27、+1.02と小5から一貫してスコアが高くなっていた。強み側面の「向社会的行動」(高得点:望ましい)はそれぞれ+0.08と-0.24で有意ではなかった。【結論】児童の外在化問題は小学校の最上級生では落ち着いてくるが、中学に移行すると逆に顕在化していた。一方、内在化問題、特に情緒不安定(うつ・不安)は思春期に向かう顕著な変化が認められた。