第55回日本脈管学会総会

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一般演題(口述)

画像診断1

Thu. Oct 30, 2014 10:52 AM - 11:24 AM 第5会場 (201会議室)

座長: 林宏光(日本医科大学付属病院 放射線科)

10:52 AM - 11:24 AM

[O-10-3] 下肢静脈疾患におけるMR venographyの有用性及び造影CTとのすみわけについて

朝戸信行1, 保田知生2, 柳生行伸1, 今岡いずみ1, 鶴崎正勝1, 村上卓道1 (1.近畿大学 放射線診断学部門, 2.近畿大学 外科学教室)

Keywords:MR venography, CT venography

下肢静脈疾患に対する画像検査は,血管エコー,順行性および下行性静脈造影,CT,MRIが行われている。長らく順行性静脈造影がGold Standardであったが,現在では低侵襲で,形態と血行動態を同時評価可能な血管エコーが第一選択となっている。しかし,血管エコーは検査者の技量に依存する点や,客観性に乏しい点,観察困難な部位があるなどの欠点もある。造影CTは,肺動脈塞栓症の検索の際に,胸部撮影に引き続いて下肢静脈内血栓の検索目的に広く行われている。しかし静脈のみを描出することができないため,血栓塞栓症以外の静脈疾患に対しては活用が難しく,また造影剤の使用が必須であることや放射線被曝が不可避であるといった欠点も存在する。当院では下肢静脈疾患に対して,非造影MR venography(以下MRV)を積極的に撮影してきた。MRVはヨード造影剤の使用や被曝もなく,順行性静脈造影に比べてはるかに低侵襲であり,再現性・客観性に優れている。骨盤から下腿までの静脈全体像を撮像し評価可能で,画像再構成により多方向から観察可能であり,血管の位置関係の把握が容易である。その一方でMRVは装置によって撮像法が異なり,撮像法ごとの最適化や得られた画像の解釈が異なること,超音波に比べると手軽さに欠けることなどから広く活用されているとは言い難い。今回の発表では,臨床上MRVが有用であった症例(下肢静脈瘤,静脈形成異常症,深部静脈血栓症,血栓後症候群,骨盤内腫瘤圧排による静脈うっ滞,下大静脈症候群など)を提示し,血管エコーの欠点を補う補助検査としてのMRVの有用性について報告するとともに,画像解釈の注意点や造影CTとのすみわけ・使い分けについて考察する。