第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

その他3

2014年10月30日(木) 15:20 〜 16:02 第7会場 (第2練習室)

座長: 谷口哲(弘前大学 胸部心臓血管外科)

15:20 〜 16:02

[P-11-4] 日本における急性心筋梗塞死亡と医師数の関係

長島仁 (士別市立病院 循環器内科)

キーワード:myocardial infarction mortality, number of physicians

【背景】日本の特に地方における医療供給体制の弱体化(“医療崩壊”)は地方の医師数の減少が主たる原因と考えられるが,循環器領域でもその影響を受けている地域が少なくないと思われる。そのような医療供給体制の弱体化が日本人の急性心筋梗塞死亡に影響を与えている可能性がありうる。【目的】日本の各地域における医師数が急性心筋梗塞死亡に影響を与えているか検討すること。【方法】厚生労働省の発表した2012年の人口動態統計から得た日本の各都道府県における急性心筋梗塞死亡率(粗死亡率)および厚生労働省が発表した2012年の日本の各都道府県における医療施設(病院・診療所)に従事する医師数のデータから各都道府県の人口10万人当たり医師数およびkm2面積当たり医師数を求め,それらのデータ間の単相関係数を求めた。p<0.05を有意と判断した。【結果】2012年の日本の各都道府県における急性心筋梗塞死亡率と2012年の日本の各都道府県における人口10万人当たり医師数の間には統計学的に有意な相関は認めなかったが,2012年の日本の各都道府県におけるkm2面積当たり医師数との間には統計学的に有意な相関を認めた。(r=-0.355,P=0.014)【考察】日本の各都道府県における人口当たり医師数と急性心筋梗塞死亡率との間には有意な相関を認めず,面積当たり医師数との間には認めたことは,医師配置の地理的要因との関連を示唆していると思われ,日本における医療供給体制の弱体化(“医療崩壊”)との関連が推定される。