第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

静脈1

2014年10月31日(金) 13:10 〜 13:46 第6会場 (第1練習室)

座長: 佐久田斉(総合東京病院 血管外科)

13:10 〜 13:46

[P-15-1] 上腸間膜静脈血栓,大動脈血栓,肺塞栓症を合併した好酸球増多症候群の1例

菅原宏文, 小ヶ口恭介 (大崎市民病院 外科)

キーワード:Thrombosis, hypereosinophilic syndrome

症例は54歳の女性で,既往歴に特記すべきものはない。1週間続く下痢,嘔吐,発熱を主訴に,前医に入院となった。急性腸炎として抗生剤投与にて10日間加療されるも症状と発熱の改善が見られなかったため,当院紹介となった。当院初診時の血液生化学所見では,白血球数18760/μL(好酸球数5630/μL),血小板数7.6万/μL,CRP9.5mg/dLと著明な好酸球数の増加と血小板数の低下,炎症反応の高値を認めた。FDPは50μg/mLと高値であった。またAST82U/L,ALT105U/Lと軽度の肝機能障害を認めた。造影CT検査では,上腸間膜静脈から門脈にかけての血栓,腹部大動脈血栓,肺塞栓と考えられる右肺動脈血栓を認めた。また上行結腸から横行結腸の腸間膜脂肪織濃度の上昇と大量の胸腹水を認めた。明らかな腫瘍性病変は認めなかった。大腸内視鏡では横行結腸の区域性の粘膜壊死と潰瘍を認めた。明らかなプロテインS,プロテインC欠乏などの血栓性素因はなく慢性好酸球性白血病も否定的であった。これらの結果から好酸球増多症候群に伴う多発動静脈血栓症と腸炎と診断し,抗凝固療法とステロイド投与を施行したところ,下痢や嘔吐などの消化器症状の改善と好酸球数の低下を認めた。経口摂取を再開しても消化器症状の増悪は認めず退院となった。発症約2.5ヵ月後のCTでは上腸間膜静脈~門脈血栓と大動脈血栓の消失,肺動脈血栓の縮小を認めた。現在,外来にてステロイド量の減量を行っているが,症状の再発は認めない。