第55回日本脈管学会総会

講演情報

会長要望演題

CVTによる脈管検査

2014年10月30日(木) 15:50 〜 16:40 第3会場 (202会議室)

座長: 大谷則史(社会医療法人製鉄記念室蘭病院)

15:50 〜 16:40

[PR-11-5] 末梢動脈疾患(PAD)に対する非監視下運動療法に有用な検査指標

中島里枝子1, 小林仁恵1, 川良徳弘1, 工藤敏文2, 井上芳徳2 (1.文京学院大学 保健医療技術学部 臨床検査学科, 2.東京医科歯科大学医学部附属病院 血管外科)

キーワード:Intermittent claudication, Recovery time

【はじめに】PADの保存的治療法において監視下運動療法の有用性が認められており,医師が患者に「歩くように」と伝えるだけでは効果がないとされている。しかし監視下運動療法は施行可能な施設が限られており,多くの患者にとってはその治療を受ける機会がないのが現状である。そこで監視下運動療法にかわる非監視下運動療法に有用な検査指標を検討した。【対象と方法】東京医科歯科大学血管外科に通院中の10名(男性9名,女性1名,年齢74.1±7.8歳)に対して,日常生活に関するアンケート(日常歩行の程度など),歩行障害質問票(WIQ),PAD特異的QOL評価(VascQOL),トレッドミル負荷前後の足関節上腕血圧比(ABI),負荷後のABI回復時間(RT)を測定した。トレッドミルの条件は傾斜12%,2.4km/h,1分間とした。【結果】全例において1分間の歩行負荷試験は完遂可能であった。各指標はABI0.71±0.14,RT(秒)546±318,WIQ合計215.0±90.4,VascuQOL合計137.8±20.8であった。WIQ合計,VascuQOL合計はABIとの間に相関を認めた。一方,RTはABIとの間に有意な相関を認めなかった。さらに1日30分以上週3回以上の歩行を行っている散歩群(8例)と行っていない散歩しない群(2例)に分けたところ,ABI平均は散歩群0.71,散歩しない群0.71,RT平均は散歩群420秒,散歩しない群1050秒であった。【結論】RTはABIと独立した検査指標であり日常歩行の程度に関係する可能性が示唆された。