第55回日本脈管学会総会

講演情報

会長要望演題

保険収載された内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術1

2014年10月31日(金) 09:00 〜 09:40 第2会場 (アイシアター)

座長: 八杉巧(愛媛大学医学部附属病院 心臓血管外科)

09:00 〜 09:40

[PR-14-2] 内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術を始める際に必要なことは何かー自分自身の経験から

草川均, 小津泰久, 井上健太郎, 駒田拓也, 片山芳彦 (松阪中央総合病院 胸部外科)

キーワード:SEPS, Health Insurance

内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術(SEPS)は,内視鏡下静脈疾患治療研究会が中心となって,2009年5月から先進医療認可を受け,2014年4月からは保険収載された。このため,SEPSを始めようという施設が増加すると思われる。そこで今回,微力ではあるが,私自身がSEPSを始めるにあたって行ったことで,血管外科医として経験上良かったと思われたことを報告する。1.皮膚科形成外科医との連携,潰瘍患者に対して血管外科医として責任ある治療の取り組みを行うことーSEPSの適応となる患者は血管外科でなく,皮膚科へ受診する。血管外科医たちは一般的に皮膚科形成外科医に対して上から物を言う傾向があるが,うっ滞性皮膚病変を伴う慢性静脈不全では,血管外科医と皮膚科形成外科医による集学的治療が行われるべきであり,対等な立場での協力関係を築くことが最も重要である。皮膚潰瘍の治療において,熟練した皮膚科形成外科医は頼りになる存在であることを理解すべきである。結果を出すことによって信頼関係が築け,紹介が増える。2.熟練者の手術見学をすること,内視鏡下静脈疾患治療研究会で情報交換を行い,アドバイスをもらうことー合併症を回避するためには必要不可欠であり,営利目的で周囲と交流なく行うことは絶対避けるべきである。3.SEPSでうまく切れなかった不全穿通枝をどうするか,次の別の選択肢を持っておくことー創合併症のリスク覚悟で皮切切離を行うか,エコーガイド下フォーム硬化療法(UGFS)を行うか,保険外診療だが血管内治療(PAPs)で行うか,SEPSを行う際に患者にきちんと説明,同意を得ておく。うっ滞性潰瘍治療やSEPSに真剣に取り組もうという外科医のお役に少しでもたてば幸いである。