第55回日本脈管学会総会

講演情報

会長要望演題

心臓大血管に対するリハビリテーション

2014年10月30日(木) 14:10 〜 15:00 第3会場 (202会議室)

座長: 本多祐(兵庫県立姫路循環器病センター 心臓血管外科), 林富貴雄(大阪府立急性期総合医療センター 血管内科)

14:10 〜 15:00

[PR-9-5] 心腎連関に対する運動療法の有効性

礒良崇1, 鈴木洋2 (1.昭和大学藤が丘リハビリテーション病院 内科・内部障害リハビリ部門, 2.昭和大学藤が丘病院 循環器内科)

キーワード:Exercise Therapy, Cardio-renal syndromes

慢性腎臓病(CKD)と循環器疾患は互いに密接に関係し合併しやすいことから,“心腎連関”という概念が注目されている。運動療法は,急性心筋梗塞をはじめとした循環器疾患において生命予後ならびにQOL改善効果のエビデンスが数多く示されガイドラインで推奨される一方で,保存期CKDでは腎血流低下による腎機能悪化の懸念から積極的には推奨されていない。そのため,重複障害である心腎連関に対する運動療法の効果・意義の検証は重要であると考え,検討を行った。当院で回復期心臓リハビリテーションに参加し,導入時および終了時(5ヶ月後)に心肺運動負荷試験を施行したCKD合併症例33例(eGFR< 60 mL/min/1.73m2,虚血性心疾患19例・慢性心不全14例)を対象とした。透析患者は除外した。eGFRは,心臓リハビリ導入後1か月および終了後3か月で評価した。運動療法により,嫌気性代謝時および最高酸素摂取量,換気効率のいずれも有意な改善を認めた。全例解析では,eGFRの変化は心臓リハビリ時と追跡時で有意差はなかったが,eGFR変化量と年齢の間に負の相関関係を認めた(r= -0.355,p< 0.05)。そのため,70才で2群に分けたところ,高齢群(n= 20)ではeGFRの変化を認めなかったが,70才以下の群(n= 13)では追跡時にeGFRは有意に上昇をしていた。これらの結果より,心腎連関症例において監視下運動療法を主体とする心臓リハビリテーションは,運動耐容能の向上に有用であり,また維持期にかけて腎機能を悪化させることはなく,年齢に関連した腎保護作用の可能性が示された。