日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

講演情報

一般演題

手術(全般)

治療後のトラブル症例

2023年8月5日(土) 16:35 〜 17:10 一ツ橋ホール (日本教育会館 3F)

座長:草西 洋、嘉村 康邦

16:50 〜 16:55

[1A40P] TVM手術後11年で巨大続発性膣結石を生じた一例

○松下 千枝1、吉川 貴之祐1、前阪 郁賢1、冨岡 厚志1 (1. 済生会中和病院 泌尿器科 )

キーワード:メッシュ露出、TVM術後合併症、膣結石

【緒言】膣結石は膣内異物を核とする続発性結石と、膣内への尿の貯留が原因となる原発性結石がある。今回我々は11年前に施行したTVM手術のメッシュ露出を核とした直径6.5㎝の巨大な続発性膣結石を認め摘出したので報告する。 【症例】77歳女性、1妊1産。既往歴に糖尿病、高血圧、脊髄腫瘍で下肢麻痺あり車いすを使用した独居生活をしている。2011年9月子宮脱による排尿困難で急性腎盂腎炎を発症し当院当科に入院となった。POPQstage4の子宮脱に対し、同年10月Prolift型AP-TVM手術を施行し、以後排尿困難は改善し、切迫性尿失禁は残存していた。11月に診察後はロストフォローとなっていた。2022年10月不正出血を主訴に当院婦人科を受診され、当科紹介された。内診にて膣結石を認め、膣後壁に露出したメッシュが核となっており、メッシュを切断して膣結石を摘出した。直径6.5㎝、結石分析はリン酸マグネシウム・アンモニウムが98%以上であった。残ったメッシュ露出も可及的に切除し、エストリール錠0.5㎎1日1回内服でメッシュ露出は改善を得た。 【考察】本症例は経腟メッシュ露出を核とし、また、慢性的な尿失禁により膣内への尿貯留が存在したことで結石サイズの増大を助長したと考えられた。経腟メッシュの合併症としてのメッシュ露出は、ロストフォローとなった後、性交渉のない症例では気づかれにくいと考えられた。また、慢性的な尿失禁のある症例は膣結石を生じやすいことを念頭に置き、診察にあたる必要があると考える。 【結語】TVM術後メッシュ露出を核にした巨大続発性膣結石を経験した。