第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター13群 看護職の業務に対するモチベーション

Tue. Nov 8, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:村田 誠幸

[ポスターM-13-5] 「ありがとうカード」活用による看護師の感情の変化

-ポジティブ感情に注目して-

石川 とも佳, 藤沢 歌子, 岩崎 恭子 (川西赤十字病院)

Keywords:感謝、ポジティブ感情、ありがとうカード、看護師

【抄録】
【目的】個人と組織の充実をめざすポジティブ心理学では、看護師がポジティブな感情を経験しながら仕事をする事は有効だといわれる。A 病院の入院患者は平均年齢85 歳、寝たきりや認知症、慢性疾患を抱え入退院を繰り返す事が多い。適切な退院支援ができたのか苦悩しケアの優先順位の選択を繰り返す多忙な業務の中、自己の看護に対し葛藤しネガティブになりやすい。一方で患者さんの笑顔やありがとうの言葉は嬉しく、チームで協力し目標が達成できた時は前向きになれる。日々前向きな気持ちで、やりがいを感じながら看護をしたいと考え、感謝や肯定的メッセージを伝える「ありがとうカード」(以下、カード)の活用で看護師の感情が変化するか検証した。【方法】対象者はA 病院看護師28 名。研究期間は令和3 年8 月~ 12 月。事前に研究目的、方法、研究協力は自由意志であり、不利益は生じない事を書面説明し同意を得た。対象者には、同僚宛に名刺サイズのカードにメッセージを記し渡すように説明し、1か月間活用した。活用前後に小川らの開発した一般感情尺度を用いた調査票を配布。統計解析はSPSS Ver.25 を使用しWilcoxon の符号付き順位和検定とした。【結果】有効回答率は92.6%。4 件法の回答点数を検定にかけた結果、ポジティブとネガティブ感情に有意差があった。24 の下位尺度では「活気・楽しい・陽気・元気」は増加、「緊張・恐ろしい・うろたえ・そわそわ・びくびく・どきどき」は低下し有意差があった。【考察】カード作成の場面は、同僚の事を思い装飾を工夫しており、楽しく気分転換できたと考える。カードの内容は、感謝や敬意を表す言葉であったと予測される。看護師は特に上司や同僚からの承認が自信になりやすく、感謝の伝達はお互いの精神的安定につながるといわれる。カード活用は改めて同僚の良い所に気付き素直に伝えるきっかけになり、感謝や承認の効果、メッセージをもらう嬉しさから元気になり、お互いのポジティブ感情が増加したと考えられる。またポジティブ感情の効果にもあるように、同僚のメッセージによって生じた前向きな気持ちがネガティブ感情を低下させたと考える。しかし感情の変化は一時的である。コロナ禍や多忙さによる弊害が論じられる昨今、ポジティブ感情を生かしたコミュニケーションツールとして役立つ可能性も考えられ、効果を持続させるための活用方法の工夫が必要である。