第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター18群 セルフケア能力向上への支援

2022年11月9日(水) 09:30 〜 10:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:三木 幸代

[ポスターM-18-4] 外来看護師が抱える外来がん治療患者に対する困難感の相違について

藤本 尚裕 (舞鶴共済病院)

キーワード:化学療法、困難感、副作用

【抄録】
【目的】外来がん治療に携わる看護師は、患者に寄り添いながら、症状を的確に予見し把握する能力が求められる。しかし、外来看護の場では、様々な場面で多様な症状を訴える患者に接するため、葛藤や困難感を抱きやすく、その認識は、置かれた環境で異なるのではないかと考えた。そのため、本研究では、外来看護師がどのような環境で困難感を抱き認識しているのか、具体的に明らかにすることで、今後の取り組みの示唆を得たいと考えた。【方法】外来化学療法看護に携わる看護師28 名を対象に、独自に作成した質問紙を用い実態調査を行った。質問紙の内容は、認識を明らかにするため、「外来診療の場」・「患者との関わり」・「具体的な症状」の3項目に分け作成し、選択式は、質問項目別に単純集計、複数・自由回答形式は内容が類似する項目ごとにまとめ、カテゴリー化し、置かれた環境ごとにクロス集計し分析した。倫理的配慮として、対象者に、研究への参加は自由意志・任意であり、匿名性と撤回しても不利益はないことを説明し同意を得た。【結果】外来看護師28 名のうち、24 名が化学療法患者に対し困難感や懸念を抱いていた。「外来診療の場」の困難感に対する項目は、22 名が自覚しており、具体的には、問診・病状説明後の対応・電話対応などが続く結果となった。「患者との関わり」の項目は、22 名が懸念を実感しており、いずれも患者からの訴えに関連する項目が最も多く、病期の進行による身体的症状(副作用症状)・精神的辛さ・社会的環境の順であった。また、「具体的な症状」については、19名が過去に不安や懸念を抱いており、17 名が指導の際の情報の不足を実感していた。【考察】外来治療に携わる看護師が抱く困難感は「外来診療の場」「患者とのかかわり」どちらの項目にも、同程度みられ、その傾向は化学療法件数の多い部署ほど、患者の症状と訴えに関連する複数回答項目・病状説明後の対応などが多い傾向がみられた。このため、多くの看護師が病期の進行にともなう患者の変化を認識し、患者を取り巻く環境を含めた困難感を抱いていることが考察された。また、化学療法件数の少ない部署であっても、症状について電話対応などで、難渋する例もあり、一度に多くの患者と接する外来看護の中で、具体的な患者の言動・反応を含めた情報共有のありかたと、副作用症状など含めた評価ツールなどの情報提供が今後の課題と示唆を得た。