第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター26群 新型コロナウイルス感染症下の看護~感染対策~

Wed. Nov 9, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:西村 路子

[ポスターM-26-4] 個人防護具脱衣による汚染状況の可視化

-蛍光塗料を用いた検証-

高木 英里, 前田 晃史, 新谷 誠, 山内 真実 (市立ひらかた病院)

Keywords:個人防護具、汚染、脱衣、新型コロナウイルス

【抄録】
【目的】2020 年1 月より明らかになった新型コロナウイルス感染はその後世界中に拡大し、2022 年1 月現在わが国では第6 波を迎えている。新型コロナウイルス感染患者に対応する医療者は、感染拡大予防のために個人防護具(以下PPE)の適切な着脱が求められる。これまでPPE の汚染部位や汚染状況などの調査はあるが、PPE 脱衣による身体への汚染状況の調査は見当たらなかった。本研究の目的は、感染病棟に勤務する看護師を対象としてPPE の脱衣による身体への汚染を明らかにし、適切なPPE の脱衣時について検討するための材料にすることである。【方法】研究デザインはA 施設感染病棟に勤務する看護師を対象とした準実験研究である。対象者がPPE を着用した後にガウンの前面と手袋に蛍光塗料を塗布し、PPE 脱衣後にブラックライトで身体への蛍光塗料の付着を確認した。分析方法は、身体への汚染は身体を35パーツに分け、着用している衣服や皮膚に付着した蛍光塗料を汚染部位として数え、合計した。解析方法は、汚染部位との合計数を従属変数、PPE 脱衣の技術として看護師および感染病棟経験の年齢、BMI を独立変数として、重回帰分析を行い、有意水準はいずれも5%未満とした。研究は所属施設の倫理委員会承諾後に調査を開始した。【結果】対象者(n=25)のうち1 例がマニュアルを遵守できなかったため除外した。重回帰分析の結果はp=0.30(R2=0.03)であり、汚染群(n=20)と非汚染群(n=4)の比較では看護師経験(p=0.91)、感染病棟経験(p=0.91)、BMI(p=0.24)といずれも差を認めなかった。汚染部位の合計で最も汚染が多かった部位は頸部(26.2%)であった。【考察】PPE 脱衣による衣服や皮膚への汚染に影響する因子として、看護師個人の体型や看護技術の習得に関連する看護師や感染病棟の経験年数と考え、重回帰分析および汚染群、非汚染群の2 群を比較したがいずれも差を認めず、これら以外の因子が関連していると考える。汚染部位が最も多かった頸部はPPE で保護されておらず、脱衣の際にガウンの汚染が接触し、汚染されやすいと考える。今後はPPE脱衣による衣服汚染に関連する因子を検証し、これらの因子を追加した調査が必要である。最も汚染が多かった頸部に関しては感染病棟の医療者へ情報を提供し、感染拡大予防に繋げたいと考える。