第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター3群 疾病とともに暮らすことへの支援①

2022年11月8日(火) 11:30 〜 12:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:永井 健太

[ポスターM-3-2] 緩和治療へ移行する際の病状説明を受けた高齢家族の思い

松岡 ゆかり, 大山 菊枝 (公立能登総合病院)

キーワード:緩和治療、家族、病状説明

【抄録】
【目的】公立A 総合病院B 病棟において、高齢がん患者の入院は増加傾向にある。家族背景の多様化により支援者が少ない現状がある。終末期の高齢がん患者の家族の思いを理解し、患者と家族が残された時間を有意義に過ごす支援を行うため、緩和治療へ移行する際の家族の思いを明らかにする。【方法】対象は、B 病棟に入院した、緩和治療へ移行する病状説明を受けた高齢がん患者の家族である。対象者に、「治療が望めないことを説明された後の思い」についてインタビューを行った。インタビューした内容から逐語録を作成し、家族の思いをコード化し類似性、相違性、関連性に基づきカテゴリー化した。所属施設の倫理審査委員会規程に沿って審査を受け、承認を得て研究を開始した。【結果】対象者は男性2 名、女性1 名の3 名、すべて配偶者で、平均年齢は78.3 歳であった。インタビューの平均時間は、44.3 分であった。緩和治療へ移行する際の病状説明を受けた後の思いから、160 コード、34 サブカテゴリー、9 カテゴリーが抽出された(以下カテゴリーを〈〉に示す)。医師から病状説明を受けた直後に家族は、現状を受け止められない思いの〈治療が望めないことへの悲嘆〉、今までの家族の関係を振り返りできた〈病気にさせたことへの自責の念〉、闘病生活をして〈新しく芽生えた患者への思い〉があった。徐々に、献身的にサポートしたい思いの〈患者本人を精一杯支えてあげたい〉、病状悪化への覚悟からの〈看取りに対する受け入れ〉、最期は自宅で本人を看たいと思う〈自宅で看病することへの決意〉となった。受け入れの時期を経て家族は、残された夫婦の時間を大切にしたいと〈本人と過ごす時間への願望〉、在宅療養中の状態悪化時の不安から〈在宅療養の継続に対する葛藤〉、家族自身の持病も増悪するかもしれない思いの〈持病を抱えながら介護する事への不安〉があった。【考察】長年患者と苦楽を共にし、闘病してきた家族も高齢である。家族は、持病を抱え自身の体調への不安や心配はあるが、患者と過ごす残りの時間を大切に過ごしたいという思いが大きいと考える。高齢がん患者の家族の思いを理解し、不安や葛藤に寄り添いながら支援していくことが重要であると考える。