第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター32群 リスクマネジメント②

Wed. Nov 9, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:森田 恵美子

[ポスターM-32-5] チューブ類自己抜去の減少に向けた試み

松島 清花1, 吉田 絵里奈1, 西原 綾香1, 松本 英里1, 池下 まさみ1, 戀塚 しのぶ1, 松瀬 秀子1, 石垣 恭子2 (1.佐世保中央病院, 2.兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科)

Keywords:ICU、自己抜去、チェック表、ダブルチェック

【抄録】
【目的】チューブ類自己抜去が減少しない原因を分析し、今後の課題を見出す【方法】A 病院のICU 看護師26 名へチューブ類自己抜去に関する意識調査や実施状況について独自で作成した無記名の自記式質問紙を使用し⑴情報共有時のチェック表の使用有無⑵情報共有のタイミング⑶情報共有を行わない理由⑷身体拘束の対象⑸適切な身体拘束具の選択⑹身体拘束具装着時のダブルチェック⑺身体拘束具使用中の確認のタイミング⑻患者の傍を離れる際の他スタッフへの声掛けの有無⑼声掛けができていない理由などについての調査を行った。A 病院倫理審査委員会の承認を得て行い、質問紙調査票の回収をもって研究に同意したこととみなした。2021 年5 月10 日~ 6 月30 日に身体拘束を行っているICU 入室患者45 名に、身体拘束の状況を調査するため、ゆるみやズレがないか3 時間ごとに観察した。【結果】看護師へのチューブ類自己抜去に関する質問紙の有効回収率は100%であった。「認知症や不穏患者の情報共有を行えているか」の問に1 名(3.9%)が「いいえ」と回答、「身体拘束開始時にダブルチェックをしているか」の問に17 名(65.4%)が「いいえ」と回答、「認知症や不穏患者の傍を離れる時に他スタッフへ声掛けを行っているか」の問に14 名(53.8%)が「いいえ」と回答。質問紙調査項目を看護師経験年数とICU 経験年数3 年未満、3 年以上に分けχ2 検定を実施したが、経験年数に対する有意差は見られなかった。身体拘束中の患者では拘束具の緩みが10 件、患者の体位のずれが7 件あったが、自己抜去に至っていない。自己抜去したのは、身体拘束が不要と判断した脳外科患者3 名であった。【考察】勤務交代時に患者の自己抜去のリスクに関して情報共有を行っているが、今回の調査では脳外科患者のみに自己抜去されており、脳外科患者は特に身体拘束開始時のダブルチェックとベッドサイドを離れる時声掛けを徹底していく必要がある。3 時間おきの拘束状況の確認は自己抜去防止に有効であり、脳外科患者以外でもせん妄などのリスクがあるため身体拘束不要と判断した後も、経時的に意識レベルや状態変化、身体拘束の必要性を確認する必要がある。経験年数での看護師同士の声かけづらさに有意差は認めず、権威勾配が原因ではなく、声掛けする状況を明確にする必要があると示唆された。