第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター32群 リスクマネジメント②

Wed. Nov 9, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:森田 恵美子

[ポスターM-32-4] 医療安全における複合的教育キャンペーンが看護師にもたらす効果(最終報告)

-実践に繋がるか-

中村 文枝, 徳原 伸子 (柏崎総合医療センター)

Keywords:内発的動機付け、興味関心、医療安全、褥瘡予防、感染予防

【抄録】
【目的】A 病院では「背抜き」「薬の確認」「手指衛生」の予防ケア向上のため、平成29 年より褥瘡対策、医療安全、感染対策の3 分野が協働し「3 する運動」と称した複合的な医療安全キャンペーン(以下キャンペーン)を実施している。平成30 年には、キャンペーンの前後で研修会への参加動機の調査を行い、キャンペーン後には内発的動機が上昇し、興味や関心を持つことが示唆された。本研究では、このキャンペーンを継続した結果「背抜き」「薬の確認」「手指衛生」の実践状況が改善したかを明らかにする。【方法】対象者はA病院の保健師、助産師、看護師、准看護師277 人、データ収集期間は平成29 年6 月~令和2 年2 月。キャンペーンは「背抜き」「薬の確認」「手指衛生」をメインテーマに、ポスター掲示、参加型企画展示(3 する祭)、研修会を各分野がリレー方式で開催した。参加型企画展示(3 する祭)は予防ケアに関する情報を得て、実際の製品を体験できる企画である。開催時間内であれば自由に参加できる形式で実施した。調査は質問紙による留め置き法により、背抜き3 項目、薬の確認6 項目、手指衛生5 項目の14 項目の実践状況を調査した。1~ 5(全く行っていない~いつも行っている)点で点数化し、キャンペーン前後の点数をWilcoxon の順位和検定(有意水準0.05)で比較した。【結果】質問紙回収率は88.4%であった。実践状況は14 項目すべてで点数が上昇し、実践状況が改善した。14 項目中、6 項目ではp<0.05 と有意な上昇がみられた。有意な上昇がみられなかった8 項目は、キャンペーン前から4 点以上の実践状況であった。【考察】キャンペーンでは、ポスターの掲示や研修会に加え、「3 する祭」と称した参加型の企画展示を実施した。「3 する祭」では、自由な時間に体験しながら、楽しく予防ケアに関する情報提供を行った。平成30 年の調査では、「3 する祭」に参加した者は、予防ケアを学ぶ動機として、内発的動機が上昇していた。これは「3 する祭」が内発的動機付けとなり、予防ケアへの興味・関心を活性化させたためと考える。予防ケアの向上には高い自律性が重要である。ポスター掲示や研修会などに加え、「3する祭」のような企画で、知的好奇心や興味などによって学習意欲を喚起・促進したことが、看護師の自律性を高め、実践状況の改善に繋がったのではないかと考える。