第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

Presentation information

ポスター

ポスター8群 疾病とともに暮らすことへの支援②

Tue. Nov 8, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:千田 睦美

[ポスターM-8-5] 意思決定支援に対する関りと透析室看護師としての課題

須田 香織1, 野崎 みなみ1, 内藤 美紀1, 古橋 洋子 2 (1.平和病院, 2.青森中央学院大学看護学部看護学科)

Keywords:血液透析、ACP、透析開始・中止、コミュニケーション

【抄録】
【目的】A 病院透析室には、58 名の透析患者がいる。1 名の癌患者から「骨転移したら透析やめる」という発言があり、医師よりACP が有用ではないかと提案があった。透析室におけるACP に関する先行研究がないため、ACP を活用するために必要な透析室看護師の課題を明らかにする。【方法】2021 年9 月~ 10 月、A 病院、透析室看護師2 名。プロセスレコードを用いて、研究の同意を得たターミナル期と導入期の患者2 名(70 代・80 代男性)との会話をプロセスレコードに起こし、文脈から類似したものを整理しカテゴリー化した。研究期間中、2 か月に1 回スーパーバイザーによるアドバイスを受け信頼性を確保した。【結果】プロセスレコードに起こした結果、15 の文脈が抽出された。文脈を類似した言葉に分け、12 の要素、それらを整理した11 のサブカテゴリ―〈〉、3 のカテゴリー≪≫を抽出した。カテゴリーには≪死に対する抵抗≫≪他職種との協働≫≪コミュニケーションスキルの活用≫が抽出された。【考察】≪死に対する抵抗≫では、看護師は〈死に対する抵抗を感じる〉ことで、〈話の切り出し方がわからない〉ためコミュニケーションをとる上で〈深く聞くことに対する抵抗〉を感じていることが分かる。大町らは、死生観育成のためには日常的にターミナルについて話し合う環境の構築や教育的介入や死生観育成が必要であると述べている。透析室では死に触れる機会が少なく、死生観を育成していくことは困難なため、普段からターミナルやACP に関する教育を受ける機会を持つ必要がある。≪他職種との協働≫では、看護師は患者の身近にいる存在であり、日々のケアの中で患者の想いを聴く機会がある。表現された患者の想いを明確にし、〈医師との協働〉を行い、チームの中で〈看護の専門性〉を活かし患者のアドボケイトとして意思決定支援を行う必要がある。≪コミュニケーションスキルの活用≫では、意識的にコミュニケーションスキルを活用したことで、患者の想いを聞き出すことができた。プロセスレコードに起こした結果、ACP を活用するために透析室看護師には、《死に対する抵抗》《他職種との協働》《コミュニケーションスキルの活用》という課題があることが明らかとなった。今回の研究では、看護師2 名のみACP を活用したため、今後スタッフに対しコミュニケーションスキルの習得と共に、死生観育成をする必要がある。