第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演15群 穏やかに死を迎えることの支援

2022年11月8日(火) 15:30 〜 16:30 口演会場5 (103)

座長:橋口 周子

[口演M-15-3] 急性冠症候群患者のアドバンス・ケア・プランニングについての認識

新谷 瞳1, 大塚 康代1, 松下 由香理1, 八木 寿乃1, 八木 久美子1, フラピエ かおり2 (1.榛原総合病院, 2.(株)Nurse Style Biz)

キーワード:急性冠症候群、患者、ACP、認識、意思決定支援

【抄録】
【目的】急性冠症候群にてカテーテル治療を行った患者のACP についての認識を明らかにする。【方法】期間:2021 年6 月~ 10 月。1. カテーテル治療を受け循環器外来通院中の40 ~ 90 代の患者75 名に対しアンケートを実施し、結果を単純集計、数値化した上でACP 普及の傾向をみた。2. アンケートでACP について知らないと答えた人の中から希望した4 名に対し、ACP の啓蒙を目的として講義を実施した。4名の内、承諾が得られた50 代と70 代の2 名にACP に対する認識について半構成的面接を行った。逐語録を作成し、KJ法を用いてカテゴリー化し、妥当性を検討した。本研究への参加は対象者の自由意思で行い、不利益は生じないことを説明し同意を得た。看護研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果】1. アンケート調査:41 名から回答を得た。その内、ACP という言葉を聞いたことが有る人は4 名、家族と話し合ったことが有る人は15 名であった。2. 講義・インタビュー調査:ACP という言葉への認知度は低いが、話し合うといったACP のプロセスの必要性を理解していた。さらに、ACP が行えず患者が困惑している状況が示された。インタビューでは、<尊厳ある生を全うしたいという患者の意思><残された遺族に対する患者の思い>< ACP を阻害する要因>< ACP を促進する要因><看護介入への期待>の5 つのカテゴリーが抽出された。【考察】研究結果から、対象者へのACP 普及が進んでいないのは、横文字のネーミングによる理解のしづらさや確定できないなりゆきに対するACP への否定の気持ち、死をタブー視する日本人の傾向等が影響していると考えられる。また、心臓疾患のなりゆきを理解していない家族の傍観的な反応や危機意識の薄さ、年齢によるACP の解釈の相違が家族の受け入れを困難にし、ACP を阻害する要因となっている。一方で、急性冠症候群による生命危機体験が患者の意識・行動に変化をもたらしACP の必要性への理解に繫がっていた。このことが、ACPを促進する要因になっていると考える。さらに、対象者からは、医療者からの率直な意見やコミュニケーションの機会を望む語りがあった。ACP への看護支援とは、先ずその人を知ること、人として尊重することであると考える。継続的な対話を通して、患者が人生の終焉について向き合えるよう啓蒙活動を続けることが大切である。