第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演45群 早期離床・疼痛緩和

2022年11月9日(水) 09:30 〜 10:30 口演会場7 (105)

座長:阿久津 美代

[口演M-45-3] 術後疼痛管理の現状と勉強会を通した疼痛管理の現状

後藤 秀一1, 樫原 壯1, 明道 美優1, 長井 千恵1, 中木 里美2 (1.大和高田市立病院, 2.姫路大学看護学部)

キーワード:PCA、勉強会、ボーラス投与、術後痛

【抄録】
【目的】A 病院の術後疼痛管理としてのPCA ポンプの取り扱いの現状を明らかにするとともに、PCA ポンプ及び PCAに関する勉強会を通して疼痛管理を検討する。【方法】術後疼痛管理としてPCA に携わる機会の多いB 病棟・C 病棟・D 病棟の看護師86 名に対し、PCA 及びPCA ポンプに関する基礎知識についての勉強会を行い、勉強会前と勉強会から3 週間後に独自で作成したPCA ポンプの使用状況に関するアンケートを実施した。アンケートの結果を項目別に単純集計してマクネマー検定を行い、勉強会前後におけるPCA に関する意識、PCA ポンプの取り扱いの変化について比較分析した。アンケートより得られたデータは研究以外には使用しない事、匿名性を守ることを説明し投函をもって同意とみなした。【結果】PCA ポンプのロックアウトタイムについての理解は勉強会後のアンケートで有意な上昇がみられた。ボーラス投与を行ったことがあるかという質問でも勉強会後に有意な上昇がみられた。ボーラス投与を行ったことがない理由については勉強会前後を通して「使う習慣がない」との回答が最も多くみられた。術後に患者が痛みを訴えたときに第一選択として何をよく用いるかという質問では、ボーラス投与を選択する人数に有意な上昇がみられた。一方で、患者にボーラス投与の使用方法の指導をしたことがあるかという質問では勉強会前後で明らかな変化はみられなかった。【考察】勉強会後、PCA ポンプ及びPCA の知識の向上やボーラス投与を選択するという人数に増加がみられた。このことから、PCA の管理について勉強会を行うことはPCA ポンプ及び PCA に関する知識の伝達に効果があり、PCA ポンプを使用する動機付けになったと考えられた。ボーラス投与を第一選択するかについては副作用の発現のリスクや鎮痛効果を考慮することが望ましく、鎮痛薬についての知識の伝達が必要であると考えられた。PCA を使用することはNCA よりも疼痛コントロールが改善することに繋がっているものと考えられており、患者自身にPCA の指導を行っていく事が重要であると考えられる。そのためにはまず、看護師がPCA について理解し適切に扱えるようになる必要があるため、看護師へ継続的に知識の伝達を行うこと、その上で効果的で統一した指導を行えるようにパンフレット等の作成を検討していくことも必要であると考えられる。