第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演47群 看護教育~新型コロナウイルス感染症下の新人教育~

Wed. Nov 9, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場7 (105)

座長:栁澤 節子

[口演M-47-2] コロナ禍で臨床実習が少ない新人看護師が受けるリアリティショック

本島 景子, 渡邉 拓也 (東京都立大久保病院)

Keywords:新人看護師、日本版バーンアウト尺度、リアリティショック

【抄録】
【目的】A 病院に入職した新人看護師を対象に臨床実習の実施割合がリアリティショックの程度に影響を及ぼしているのかを明らかにする。【方法】研究目的・内容・方法、参加の自由意志および期待される利益・不利益等について口頭及び書面で説明し同意を得た。2021 年12 月3 日~ 12 月17 日に日本版バーンアウト尺度と独自の質問項目を用いてアンケートを実施し、臨床実習の実施割合で2 群に分けMann-Whitney のU 検定を実施した。【結果】対象者21 名中15 名(回収率71.4%)から回答が得られ、有効回答率100%だった。15 名中11 名(73.3%)が代替実習を受けているが、臨床実習実施割合の中央値で、81%以上(以下P 群)と80%以下(以下D 群)の2 群に分けた。バーンアウト尺度を用いた情緒的消耗感は臨床実習の実施割合が少ないD 群のほうが情緒的消耗感が強い結果となった(p=0.018)。独自の質問項目「ナースコールの対応に関し不安や恐怖を感じる」とバーンアウト尺度の個人的達成感の低下で有意差がみられた(p=0.040)。その他の項目では有意差がみられなかった。【考察】代替実習では患者との関りが薄くなる。そのため、入職後に経験したことのない重症度の高い患者を受け持つことにより、緊張を強いられる場面があることから情緒的消耗で有意差が出たのではないかと考える。独自の質問項目「ナースコールの対応に不安や恐怖を感じる」では、職場において受け持ちではない患者のナースコールに対応をすることが求められること、また看護基礎教育ではほとんど体験することができない内容であることから新人看護師にとってストレスが高いものとなり有意差が出たのではないかと考えられる。コロナ禍で臨床実習実施割合が少なかったことは、新人看護師のリアリティショックに少なからず影響を及ぼしている一因であると考えられる。リアリティショックは新人看護師であれば誰にでも起こりうる反応である。新人看護師の到達度を認識しながら見守り、自信を持たせるように関わることが重要であり、心理的側面も今まで以上に介入し、新人看護師の個別性に合わせたサポート体制作りがリアリティショックを緩和させる一つの方法である。