第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

講演情報

口演

口演21群 質の高い看護人材を育成する教育①

2023年9月30日(土) 13:15 〜 14:15 口演会場3 第8会場 (1006+1007)

座長:谷川 幸弘

[口演O-21-3] 救急外来に勤務する既卒新人がはじめて内視鏡看護を学ぶことに対する思い

久保田 真慈 (荻窪病院)

キーワード:内視鏡、既卒新人、思い、救急外来

【目的】救急外来に配属された既卒新人が、内視鏡という専門性の高い看護をはじめて学ぶに際して抱える思いを明らかにし、既卒新人の学びにつながる教育や支援を考察する。【方法】関東圏内の総合病院の救急外来で探索的質的記述的研究を実施した。これまで内視鏡看護を学んだことのない、配属後3 年以内の既卒看護師3 名を対象とし、半構造化面接法を用いて60 分程度のインタビューを1 回行った。音声データを逐語録に起こし、コードを作成。サブカテゴリー、カテゴリーには意味内容を表現する名前を付けた。本研究は研究実施施設の看護部倫理審査会の承認を得た。研究参加者には参加は自由であり参加の諾否による不利益は生じないこと、いつでも同意を撤回できることを説明した。【結果】研究参加者は3 名で、看護師経験は平均7 年、配属後の内視鏡経験は平均1 年であった。分析の結果、19 コード、11 サブカテゴリー、4 カテゴリーが抽出された。既卒新人は、はじめて経験する内視鏡看護で大きな戸惑いを感じ、限られた時間のなかで個別性のある看護ができないと不全感を語っていた。臨床の実践経験の積み重ねこそ大きな学びに繋がると考えていたが、緊急性の高い処置をする機会は少なく、自信が持てないと不安を語っていた。予定外の緊急内視鏡を実施する時は、患者の安全を守るため、自ら実地指導者やリーダに積極的に働きかけて支援を受けていた。また、看護師経験があることから、「即戦力にならなければいけない」、「仕事ができないレッテルを貼られたくない」というプレッシャーを強く感じていた。既卒新人は、これまでの臨床経験や能力に応じた個別性のある教育や、支援を必要としていることが明らかとなった。【考察】既卒新人は不慣れな内視鏡看護であっても、患者の安全を守ろうと、これまでの臨床経験や自身の強みを巧みに生かそうとしていた。既卒新人がプレッシャーを抱える要因は、救急外来スタッフの既卒新人に対する期待が背景にあった。プレッシャーの解消には、未経験のケアを臨床で実践的に学ぶことができる支援が必要である。臨床経験があっても新しい部署に配属された場合は、その臨床的技能の習得段階においては初級の段階から始まるため、既卒新人それぞれの経験や能力に合わせた教育や指導、寄り添った対話など、実地指導者、教育担当者や管理者にはチームで既卒新人に関わっていく姿勢が必要である。