第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 大阪

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口演

口演6群 看護の質向上のための取組み

Fri. Sep 29, 2023 3:00 PM - 4:00 PM 口演会場2 第7会場 (1004+1005)

座長:大江 理英

[口演O-6-6] 環境整備におけるハイパフォーマー看護師の暗黙知

―語りから見えてきたもの―

吉岡 恵美1, 千葉 麻美1, 西尾 さやか1, 小幡 衣子1, 宮城 弘樹1, 松浦 純平2 (1.奈良県総合医療センター, 2.奈良学園大学大学院看護学研究科)

Keywords:環境整備、ハイパフォーマー看護師、暗黙知、セブン・クロス法

【目的】脳神経系疾患患者は、麻痺や見当識障害などにより、自分自身でベッドサイドの環境を整えることが困難なことが多い。療養環境を整えることは看護師の重要な役割の一つである。しかし、A 病棟では環境整備に関するルールの取り決めや改定などに取り組んできたが定着しない現状がある。それにはマニュアルにはない経験や直観などに基づく知識、すなわち暗黙知が関連しているのではないかと推察する。そこで、環境整備に特化した高い看護実践能力を持つ看護師(以下、ハイパフォーマー看護師)の暗黙知を明らかにすることを本研究の目的とした。【方法】各病棟の看護師長・看護主任が推薦したハイパフォーマー看護師14 名に対し、インタビューガイドを用いて半構造化面接調査を行った。対象者には、研究の目的と方法、匿名性と撤回への保証を口頭及び書面にて説明と同意を得た。面接調査はセブン・クロス法を用いながら行い、得られた結果から優先順位が最も高い語りを形式知と形式知以外に分けた。形式知以外の語りの中から、暗黙知に繋がる内容を研究者間で検討した。【結果】セブン・クロス法では、〈安全〉〈感染対策〉〈患者の過ごしやすさ〉〈働きやすさ〉〈意思尊重〉〈整理整頓〉の6 項目が挙げられた。優先度の最も高い項目は、10 名が〈安全〉、2 名が〈患者の過ごしやすさ〉、1 名が〈働きやすさ〉、1 名が〈意思尊重〉という結果であった。語りの内容は、4 名の語りが形式知、10 名の語りが形式知以外に分けられた。形式知以外の語りから、研究者間で話し合った結果、《ノウハウ》、《信》、《視点》、《思い》の4 つの暗黙知が抽出された。【考察】セブン・クロス法の結果から、14 名中10 名のハイパフォーマー看護師が、〈安全〉を第一優先に考えていたことが明らかになった。また、形式知以外の語りから、環境整備における《ノウハウ》《信念》《視点》《思い》の4 つの暗黙知が抽出された。《ノウハウ》の内容から、危険予知や患者の状態に見合った目的・方法で環境整備を行うため、日常の中で経験した事を内省していたと考える。さらに、《信念》《視点》《思い》の内容から、環境整備に必要と考える基本的姿勢をもって行動していた。