第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演18群 精神看護②

Wed. Nov 8, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 第10会場 (G318)

座長:田上 美千佳

[口演Y-18-2] 自殺関連行動を繰り返す患者への看護師の思いと看護実践の内容

吉國 寛人1, 坂本 惣一郎1, 坊野 友香1, 石井 琴美1, 岡本 亜紀2 (1.岡山県精神科医療センター, 2.岡山大学大学院保健学研究科)

Keywords:自殺関連行動、看護師の思い、看護実践

【目的】自傷行為(以下、自傷)は、患者が自らを身体的に傷つけることによって心的苦痛を緩和させる、非健康的な対処行動である。自傷を繰り返す患者は自殺ハイリスク者であり、看護実践では、患者の成育歴や生活環境、パーソナリティ特性、不快感情など様々な自傷の内的要因に応じた個別的長期的な看護介入が求められる。本研究の目的は自傷などの自殺関連行動を繰り返す入院患者に対する看護師の思いと看護実践の内容を質的に明らかにすることであり、精神科病院における自殺予防のための看護介入の具体化を目指す。【方法】参加者選定条件は、精神科看護経験年数5 年以上で、自殺関連行動を繰り返す患者のプライマリーナース経験を有する看護師の中から、看護管理者の推薦を5 名受けた。データ収集はインタビューガイドを用いた半構造的面接を実施した。データ分析は語られた内容から、研究目的に関連している部分を語りの意味がくみ取れるように文脈を考慮しながらコード化、さらに意味内容の共通性や関連性に基づいて継続的に比較しながらカテゴリ化した。倫理的配慮は、研究参加者へ本研究の目的と方法、参加、不参加、途中辞退の自由、研究不参加によって不利益を生じないこと、プライバシー保護と匿名性の確保、結果の公表については文章および口頭で説明し、書面にて同意を得た。また、倫理審査委員会で承認を得た。【結果】男性2 名女性2 名から本研究参加に同意が得られた。内容分析の結果、言葉では表現しきれない怖さと衝撃がありながらも救命行動をとる、自殺関連行動を否定せず気持ちを聴いて受け止める、見捨てられ感が和らぐような関わり、患者と関わる際の看護師の振る舞いとジレンマ、繰り返される自殺関連行動の背景や原因を知ろうとしながら関わる、再企図を予防するための対策を一緒に考え共有する関係を作る、の6 のカテゴリが生成された。【考察】看護師は、患者の自傷直後の怖さと衝撃、止められなかった後悔や介入の限界を感じ傷ついていた。しかし看護師として患者の命を守りたいという思いを持ち続け、日頃から患者の傍にいき孤独感を生じさせないようにする、死にたい気持ちに寄り添いながら自傷の要因を探るなどによって再発防止に努めていた。また、責務を全うしようとする看護師の責任感の強さが明らかとなり、日頃から思いを表出できるサポートの必要性が示唆された。