第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演43群 継続教育①

Thu. Nov 9, 2023 10:30 AM - 11:30 AM 第10会場 (G318)

座長:武末 磨美

[口演Y-43-1] 多機能慢性期病院におけるキャリアラダー実践後の現状と課題

佐藤 京子1, 三浦 直子2 (1.札幌西円山病院, 2.発寒リハビリテーション病院)

Keywords:キャリアラダー、看護の核となる実践能力、意思決定を支える力

【目的】キャリアラダー構成要素「看護の核となる実践能力」「組織的役割遂行能力」「自己教育・研究能力」において当院の現状と課題を明らかにする。【方法】対象者は当院に勤務する看護師のうちラダー2 申請者27 人、ラダー3 申請者11 人の計38 人とした。2020/4-2021/3 月迄キャリアラダー2・3 申請者の自己評価を基に「看護師の核となる実践能力」の構成因子「ニーズをとらえる力」「ケアする力」「協働する力」「意思決定を支える力」、「組織的役割遂行能力」における「組織に貢献できる力」「チームワーク力」「創造し改善する力」「教え育む力」、「自己教育・研究能力」における「学び続ける力」「内省力」「セルフコントロールする力」のABC 評価をレーダーチャートと棒グラフで可視化した。倫理的配慮:対象者となる看護師の個人や部署が特定されないよう配慮し、研究目的以外にデータを使用せずデータ類は鍵の掛る棚に保管した。【結果】対象者の年齢中央値はラダー2 が30 歳、ラダー3 は36 歳、看護経験年数はラダー2 が8 年、ラダー3 は13 年であった。「看護の核となる実践能力」の自己評価では、ラダー2 は「ニーズを捉える力」「意思決定を支える力」が低くレーダーチャート上偏っているが、ラダー3 では4 項目がバランス良く変化した結果となった。「組織的役割遂行能力」は、ラダー2・3 共に「チームワーク力」を高く評価し「組織に貢献できる力」を低く評価していた。「自己教育・研究能力」においてもラダー2・3 共に「学び続ける力」が低い結果で、特に「研究により新たな知見を得る」の自己評価が低かった。【考察】「看護の核となる実践能力」の向上について、高齢者が多く入院している慢性期病院では「意思決定を支える力」は高齢者のその後の人生を大きく左右することから看護教育においてはラダー別で力を育むプログラムに軸を置き、意図的に学ぶ機会を設けた。その積み重ねによって、ラダー2 から3 への総合的な実践力の向上につながったと推察する。「組織的役割遂行能力」では、ラダー2・3 共に「資源の効果的な活用」を低く評価していた。具体的には業務改善、時間管理の管理的側面にあたりラダーレベルに応じた看護管理の必要性が示唆された。「自己教育・研究能力」では、これまでの一同に会した集合教育から個別最適化の流れの中、看護研究においてもより個別的な支援が示唆された。