第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター2群 ワークエンゲージメントを高める②

2023年11月8日(水) 13:15 〜 14:15 ポスター会場 (G1-G4)

座長:鈴木 久美子

[ポスターY-2-3] 育児支援制度利用者を対象とした夜勤者確保への取り組み

石田 京子, 田島 真由美 (山口県立総合医療センター)

キーワード:育児支援制度利用者、夜勤者確保

【目的】A 病院では育児支援制度利用者が毎年増加しており、それに伴って夜勤者の確保が困難になっている。先行調査では夜勤復帰可能となる要件を分析し、夜勤者確保対策として復職前の面談時に夜勤従事の利点を伝えると供に、夜勤従事による経済的インセンティブを導入した。その結果、夜勤復帰者数が増加したので報告する。【方法】1.データ収集方法・分析方法:対策導入後の夜勤従事者数と割合を算出し、導入前と比較した。夜勤従事の体験を明らかにするため、夜勤復帰者21 名に対し、「夜勤日数と夜勤形態」「夜勤復帰の要件」「復帰前の不安」「復帰後に抱いた思い」について自由記載のアンケート調査を行った。各項目の数値データは記述統計を算出し、自由記載については内容分析を行った。2.倫理的配慮:本研究はA 病院の研究倫理審査委員会の承諾を得てアンケート調査を行い、個人情報を遵守した。【結果】制度導入から1 年間で夜勤業務に新たに12 名が復帰し、夜勤従事者割合は導入前の14.8%から24.3%となった。20 名からアンケートの回答が得られ(回収率95.2%)、1 か月間の夜勤日数の中央値6.0 日(1 ~ 12 日)、夜勤形態は3 交代が9 名(45.0%)、2 交代が11 名(55.0%)だった。夜勤復帰後に2名(10.0%)が3 交代から2 交代へ変更した。夜勤復帰の要件として、「家族の協力の確保」「子どもとの時間の確保」「経済的メリットの獲得」を挙げ、復帰前に抱いていた不安は「家族への負担」「夜勤業務遂行への不安」「スキルアップへの焦り」であった。夜勤復帰後の体験として、〈心配していたほどではなかった〉を含む「過剰な心配の実感」をすると供に、〈患者の夜間の状態が分かる〉ことで「看護師としてのやりがい感」を得ていた。身体的負担に関しては、〈連続勤務が減った〉という肯定的な意見と、〈身体的負担を感じた〉という否定的な意見の両方があった。【考察】夜勤復帰の体験の紹介や経済的インセンティブの導入は、夜勤復帰の契機となり、「育児支援制度利用中の夜勤は困難」という先入観を解消させ、夜勤従事の利点の実感につながったと推測できる。しかし半数以上は夜勤復帰を希望しておらず身体的負担を実感したものもいるため夜勤回避の要因分析と共に、負担の少ない夜勤業務の在り方を検討し続けていくことが重要と考える。