日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC32_29PM1] 氷床・氷河コアと古環境変動

2014年4月29日(火) 14:15 〜 16:00 419 (4F)

コンビーナ:*川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、池原 実(高知大学海洋コア総合研究センター)、竹内 望(千葉大学)、阿部 彩子(東京大学大気海洋研究所)、小端 拓郎(国立極地研究所)、座長:竹内 望(千葉大学)、川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、小端 拓郎(国立極地研究所)

15:30 〜 15:45

[ACC32-06] ドームふじアイスコアから得られた長期10Be記録と宇宙線層序学

*堀内 一穂1須口 翔太1須田 健介1内田 智子2阿瀬 貴博3横山 祐典4村松 康行5松崎 浩之6本山 秀明7 (1.弘前大学大学院理工学研究科、2.東北大学大学院理学研究科、3.東京工業大学大学院理工学研究科、4.東京大学大気海洋研究所、5.学習院大学理学部、6.東京大学大学院工学系研究科、7.国立極地研究所)

地球に到達する銀河宇宙線とその二次粒子の大気中でのフラックスは,太陽磁場と地球磁場と言う二つの遮蔽要因の時間変動に主に支配されていることが知られている.地球上では主に銀河宇宙線と大気との相互作用により生成される宇宙線生成核種(10Be,14C,26Al,36Clなど)は,従ってこれらの磁場の強度変動に依存してその生成率を変化させる(Lal and Peters, 1967).大気にて生成された宇宙線生成核種は,それぞれの化学種に固有な経路を経由しながら,最終的には堆積物やアイスコア及び年輪等の様々な古環境アーカイブに保存される.よって古環境アーカイブ中での宇宙線生成核種の分布を知ることで,過去の宇宙線変動を,ひいては太陽活動や地球磁場強度の変動を知ることができるとみなされている(例えばMasarik and Beer, 1999).一方で上記の事実は,逆方向から考えると,アーカイブ中での宇宙線生成核種の分布が,異なる古環境アーカイブ間を同期させる手段,つまり層序学的対比手段となることを意味する(堀内,2014).我々は,日本の南極観測拠点から得られたドームふじアイスコアを対象にして,様々な年代スケールで宇宙線生成核種の分析を行っている.本発表では,なかでも過去30万年間を千年分解能で網羅する10Be記録を主な対象とし,そこに刻まれた変動の特徴を半定量的に明らかにするとともに,実際にこれに基づいて異なる古環境アーカイブ間の対比を試みた結果を紹介する.