17:15 〜 17:30
[HDS27-22] 詳細な地形データを使った確率論的な津波浸水ハザード評価
キーワード:津波, 浸水深, ハザード評価, 確率
防災科研による日本周辺海域における津波ハザード評価の取り組みの一環として、地域詳細版の確率論的な津波浸水ハザード評価を検討した。津波遡上による浸水深のハザードを地域全域で詳細に定量化することで、地域の防災計画やリスク評価などへの利活用に貢献することを目的としている。
これまで、全国を概観した確率論的津波ハザード評価では、津波波源となる可能性のある全ての震源を想定することで、日本全国の沿岸津波水位を確率論的に予測・評価することを試みている[平田・他、2014、連合大会]。陸域の最小計算格子サイズを50mで設定しているため、海岸や河川などの微地形や構造物などは正確に表現されない。地域の詳細な津波浸水ハザードを評価するためには、より正確で精微な地形データを用いて津波の遡上計算を行うことが必要である。構造物を含む詳細な地形データで求める津波浸水ハザードと、構造物の無い場合の潜在的な津波浸水ハザードとを比較し評価することで、構造物の有無による浸水深のハザードの違いを定量化することができ、堤防などの有効性を示せる。
そこで本研究では、評価地域を限定したうえで、最小10m格子の地形データを使い津波伝播・遡上計算を多数の震源モデルで実施し、計算で得られる浸水深を使い地域の確率論的な津波浸水ハザード評価を試みた。ケーススタディとして陸前高田市市街地を対象地域とし、対象地域における、①構造物を除いた震災前の地形における潜在的な津波浸水ハザードと、②構造物を考慮した震災前の津波浸水ハザードとを比較し、構造物の有無による津波浸水ハザードを定量化した。想定した地震は、長期評価などに基づき設定した全国概観版の確率論的津波ハザード評価用の日本海溝の震源モデル1890シナリオ[遠山・他、2014、連合大会]である。陸域の地形を、東北地方太平洋沖地震以前に取得した航空レーザー測量データに基づき10m格子で作成した。また、堤防などの天端高を地形データへ組み込んだ。計算領域の格子幅を、外洋の最大2430m、浅海域と陸域の最小10mで設定し領域接続した。堤防などの越流破壊や構造物の破壊は、まず、構造物の破壊されない最小な浸水ハザードを、構造物の無い潜在的な浸水ハザードと比較するため、考慮しない。確率論的な津波浸水ハザード評価は、多数の震源モデルを使って求めた浸水深の頻度や浸水面積を、構造物の有無毎で定量化し検討した。その結果、詳細な地形データを使うことで、地域の津波浸水ハザードを10m格子毎に評価でき、低地や河川周辺など地域の詳細な特徴を反映した浸水深のハザード情報や堤防などの有効性を定量化することができた。
詳細な地形データを使った多数の震源モデルによる確率論的な浸水深計算は、不確実性を考慮した浸水深の予測検討[阿部・他、2014、連合大会]や、堤防より低い津波に不確実性を与えた場合の浸水深の予測検討などにも活用でき、より確からしい堤防などの有効性や費用対効果などの議論に貢献できると期待される。
これまで、全国を概観した確率論的津波ハザード評価では、津波波源となる可能性のある全ての震源を想定することで、日本全国の沿岸津波水位を確率論的に予測・評価することを試みている[平田・他、2014、連合大会]。陸域の最小計算格子サイズを50mで設定しているため、海岸や河川などの微地形や構造物などは正確に表現されない。地域の詳細な津波浸水ハザードを評価するためには、より正確で精微な地形データを用いて津波の遡上計算を行うことが必要である。構造物を含む詳細な地形データで求める津波浸水ハザードと、構造物の無い場合の潜在的な津波浸水ハザードとを比較し評価することで、構造物の有無による浸水深のハザードの違いを定量化することができ、堤防などの有効性を示せる。
そこで本研究では、評価地域を限定したうえで、最小10m格子の地形データを使い津波伝播・遡上計算を多数の震源モデルで実施し、計算で得られる浸水深を使い地域の確率論的な津波浸水ハザード評価を試みた。ケーススタディとして陸前高田市市街地を対象地域とし、対象地域における、①構造物を除いた震災前の地形における潜在的な津波浸水ハザードと、②構造物を考慮した震災前の津波浸水ハザードとを比較し、構造物の有無による津波浸水ハザードを定量化した。想定した地震は、長期評価などに基づき設定した全国概観版の確率論的津波ハザード評価用の日本海溝の震源モデル1890シナリオ[遠山・他、2014、連合大会]である。陸域の地形を、東北地方太平洋沖地震以前に取得した航空レーザー測量データに基づき10m格子で作成した。また、堤防などの天端高を地形データへ組み込んだ。計算領域の格子幅を、外洋の最大2430m、浅海域と陸域の最小10mで設定し領域接続した。堤防などの越流破壊や構造物の破壊は、まず、構造物の破壊されない最小な浸水ハザードを、構造物の無い潜在的な浸水ハザードと比較するため、考慮しない。確率論的な津波浸水ハザード評価は、多数の震源モデルを使って求めた浸水深の頻度や浸水面積を、構造物の有無毎で定量化し検討した。その結果、詳細な地形データを使うことで、地域の津波浸水ハザードを10m格子毎に評価でき、低地や河川周辺など地域の詳細な特徴を反映した浸水深のハザード情報や堤防などの有効性を定量化することができた。
詳細な地形データを使った多数の震源モデルによる確率論的な浸水深計算は、不確実性を考慮した浸水深の予測検討[阿部・他、2014、連合大会]や、堤防より低い津波に不確実性を与えた場合の浸水深の予測検討などにも活用でき、より確からしい堤防などの有効性や費用対効果などの議論に貢献できると期待される。