11:45 〜 12:00
[HSC05-11] Thresholds of anomalous pCO2 in sea water
キーワード:海域CO2貯留、pCO2、漏出
本研究では、海底下に貯留したCO2の漏出検出方法について議論する。CO2の漏出はまず起きないと考えられているが、万が一漏出が起きたらすぐに見つけられるよう貯留サイト周辺海域を監視する必要がある。漏出が起きると海水のCO2濃度あるいはpCO2が上昇すると考えられるため、もしpCO2が基準値を超えれば、CO2の漏出の疑いがある。しかし、どのように基準値を決めればよいのかが問題となる。本研究では2つの基準値の比較を行った。1つは、季節ごとに一定の値を設定する「一定基準値」で、もう1つは基準値が溶存酸素飽和度の関数になっている「pCO2-DO」基準値である。大阪湾で観測されたデータの解析を行った。大阪湾の東部は成層しやすく、西部は鉛直に混合されやすい湾である。false-positiveとfalse-negativeをともに無くすことは不可能であることを認識することは重要なことである。基準値の値が小さければ小さいほどfalse-negativeは減るが、一方でfalse-positiveが増えることになる。そこで、false-positiveの割合がおおよそ同じになるようにして、2つの基準のfalse-negativeの割合を比較した。どちらの基準がよいかは海域や季節に依存する。夏季の成層海域を除いて、一定基準値の方がpCO2-DO基準値より優れているまたは同等である。しかし、夏季の成層海域では、一定基準値は漏出検出としてはほとんど役に立たないのに対し、pCO2-DO基準値はどの海域、どの季節でもそれなりに役立つ。少なくとも大阪湾の場合には、pCO2-DO基準値は必ずしも漏出検出のベストな基準値ではないが、常に漏出検出として機能する。