[MIS17-P06] 現代観測と歴史史料をつなぐ20世紀前半の観測データ:花山天文台乾板データの利用例
キーワード:太陽黒点、磁気嵐、データアーカイブ
歴史史料から自然現象の記録を取り出してデータとして利用する場合,どのように現代の観測パラメータと比較するかが重要である.歴史史料を用いた研究を現代科学とシームレスにつないで自然現象の長期的な変動を調べるには、近代観測初期の観測データの活用も重要である。太陽観測においては19世紀終盤から20世紀前半にかけて写真乾板等で撮影されたデータがあり、少しずつアーカイブ化が進みつつある。
本報告ではそのようなデータを活用する一例として,20世紀前半の太陽黒点画像およびスペクトロヘリオグラフによる太陽全面の彩層画像(CaK線ヘリオグラム)と地磁気観測データの照合についてとりあげる.
1930年代の10年間について,京都大学花山天文台にて撮影された太陽CaK線ヘリオグラムの写真乾板データや磁気嵐の指標の一つであるaa指数を照合したところ,aa指数で-100nTを超える規模の磁気嵐が発生した際でも,9例ほど黒点が無いことが記録されている場合があった.一例として1933年4月末に、花山天文台のCaK線ヘリオグラムおよび各地の黒点スケッチで黒点が見られない時期があったが,5月1日には柿岡では地磁気嵐が観測されており,aa指数は200程度となっている.CaK線ヘリオグラムの利点は、黒点だけでなく、連続光では見えないプラージュなどの比較的弱い磁場が分布している領域が可視化されることである。これにより、コロナ質量放出を引きおこすフィラメントが存在しうる大局的な磁気中性線の情報を得ることができる 。
本報告ではそのようなデータを活用する一例として,20世紀前半の太陽黒点画像およびスペクトロヘリオグラフによる太陽全面の彩層画像(CaK線ヘリオグラム)と地磁気観測データの照合についてとりあげる.
1930年代の10年間について,京都大学花山天文台にて撮影された太陽CaK線ヘリオグラムの写真乾板データや磁気嵐の指標の一つであるaa指数を照合したところ,aa指数で-100nTを超える規模の磁気嵐が発生した際でも,9例ほど黒点が無いことが記録されている場合があった.一例として1933年4月末に、花山天文台のCaK線ヘリオグラムおよび各地の黒点スケッチで黒点が見られない時期があったが,5月1日には柿岡では地磁気嵐が観測されており,aa指数は200程度となっている.CaK線ヘリオグラムの利点は、黒点だけでなく、連続光では見えないプラージュなどの比較的弱い磁場が分布している領域が可視化されることである。これにより、コロナ質量放出を引きおこすフィラメントが存在しうる大局的な磁気中性線の情報を得ることができる 。