日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-02] 地球惑星科学のアウトリーチ

2019年5月26日(日) 09:00 〜 10:30 103 (1F)

コンビーナ:植木 岳雪(千葉科学大学危機管理学部)、小森 次郎(帝京平成大学)、長谷川 直子(お茶の水女子大学)、大木 聖子(慶應義塾大学 環境情報学部)、座長:大木 聖子

09:30 〜 09:45

[G02-03] 伊豆半島ジオパークにおけるガイドスキルアップ講座の紹介とその効果

*津田 和英1小野 比呂志1山崎 宏1松尾 章史1小野 英樹2 (1.NPO法人ホールアース研究所、2.伊豆半島ジオパーク推進協議会)

キーワード:ジオガイド、スキルアップ講座、伝わる技術

[はじめに]
 一般的に、ジオパークで取り上げられる素材(火山・鉱物・地形等)は専門的で理解が困難なものという印象を持たれている。その魅力や意味を「わかりやすく伝えることができるジオガイド」の存在意義は大きい。

 本報告は、伊豆半島ジオパークで認定ジオガイドに対して、「伝わる技術」に焦点を絞った講座について検証した。受講者がこれまで各種研修等で積み上げてきた専門知識を、「より伝わりやすく」表現できるようになることを目指すことを目的とし、講座を企画した。



[方法]

 対象は伊豆半島認定ジオガイド30名に対して、2018年11月~12月に週1回10時~16時に下記のように全5回の内容で実施した。

 第5回はモニターツアーとして、第1回目の講座でチラシを配布し、募集を開始した。

 また、毎回講座後にアンケートを実施し、講座の評価と効果を集計した。



1.講座のガイダンス、参加したくなる場の作り方、伝わるガイドの心構え

講座のガイダンスとして5回の流れや大切にすることの確認後、参加者と打ち解けあってスムーズにプログラムを始める方法を学ぶ。ガイドと来訪者の関係性のあり方や、ガイドに臨むうえで求められる心構え等を学ぶ。

2.伝わる技術(体験)、伝わる技術(講義)

講師が簡易的なジオツアーを実施。受講生に体験してもらう。午後からは、講師が取り入れていた「伝わる技術」について、講義やディスカッションを行う。

3.プログラムデザイン、ガイド手法の相互共有

効果的に「伝わる」ためのプログラムの流れや構成について学ぶ。また、参加ガイド同士で、日頃のガイド手法や活用している道具類などを共有する時間を設ける。

4.プログラム作成、プログラム作成・予行

4~5名のチームを編成。過去3回の講座で学んだ技術や考え方を盛り込んで、小学校高学年向けのプログラム(15分程度のもの)を作成する。当日、雨天となることも想定する。

5.実践準備、実践・ふりかえり

小学生(高学年)を対象に、作成したプログラムを提供する。参加者の事後アンケートや各自のふりかえりを行いながら、全体で何を得たのかに気づき、日常に持ち帰る。



[成果]

 アンケート結果によると、各回の講座においてほぼ全員が内容に満足した。本講座で学んだことを自身のプログラムに活かすことができると答え、ジオツアー参加者へどのように伝えていくかについての方向性を言葉にすることができたという、受講生にとっては有意義な内容であったことが見てとれた。

 チームで作り上げたプログラムを実際に小学生に対して実施することを目指して、時には講師から、そして時には受講者同士の話合いから、伝えるコツやプログラムを組み立てるコツ、お互いのポテンシャルを発見していく過程では、回を重ねるごとに受講者がたくましくなっていった。

 また、課題点をあげる受講者は少なく、前向きな意見が多く寄せられた。講座の特長であるワークショップ形式、体験型、座学と実践、連続での講座、リラックスできる空間をつくる飲み物や音楽等のホスピタリティー、グループ活動、受講者の自発性を引き出していく、協調性等を継続してほしい意見が多く、より良くしていくために建設的な意見があがった。