11:45 〜 12:00
[MIS02-11] コア変形法を適用した原位置地殻応力測定ー防災科研地震観測井コアへの適用例-
キーワード:コア変形法、原位置地殻応力、岩石コア、地震観測井
地殻の原位置の絶対応力を知ることは、地震発生の過程やテクトニック活動を理解する上で、重要な情報である。しかし、信頼性の高い地殻応力データは、地震観測や地殻変動観測データに比べていまだ乏しい状況にある。本研究は、岩石コアの形状から原位置地殻応力値を推定する方法である「コア変形法(DCDA, Diametrical Core Deformation Analysis法)」を既存のボーリング岩石コアに適用して、原位置地殻応力を推定することを試みた。コア変形法は、掘削孔内で特殊な計測をする必要がなく、岩石コアを採取し、岩石の弾性定数とともにコア周にそった形状を計測する方法なので、過去に採取された岩石コアに適用できることが期待される。そして、岩石コアの採取された地点を含む、広域にわたり、原位置地殻応力データが得られる可能性がある。
今回、防災科研の7地点のHi-net観測井で深度が100m~200m(1地点だけ2000m)から採取した硬岩の岩石コアを利用した。それらは採取後、10年以上経過したものである。Funato and Ito (2017, IJRMMS)で設計された装置でコア外周にそった直径を測定した。測定された岩石コアは、外周にそった直径の変化がサインカーブを示し、岩石コア断面が応力開放にともない楕円状に弾性変形していることが推測される。一方で、堆積岩コアでは、明確に層理面に関係した楕円状の断面形状が計測された。これら結果は、岩石コアの堆積構造に注意すれば、既存孔井地点で、コア変形法により原位置地殻応力が推定できる見込みがあることを示している。
今回、防災科研の7地点のHi-net観測井で深度が100m~200m(1地点だけ2000m)から採取した硬岩の岩石コアを利用した。それらは採取後、10年以上経過したものである。Funato and Ito (2017, IJRMMS)で設計された装置でコア外周にそった直径を測定した。測定された岩石コアは、外周にそった直径の変化がサインカーブを示し、岩石コア断面が応力開放にともない楕円状に弾性変形していることが推測される。一方で、堆積岩コアでは、明確に層理面に関係した楕円状の断面形状が計測された。これら結果は、岩石コアの堆積構造に注意すれば、既存孔井地点で、コア変形法により原位置地殻応力が推定できる見込みがあることを示している。