10:45 〜 11:00
[SMP33-07] MgO-TiO2系鉱物の高圧相転移
キーワード:高圧、チタン酸塩鉱物、相転移
MgO-TiO2系の常圧安定相であるMg2TiO4、MgTiO3、MgTi2O5は、それぞれFe2TiO4、FeTiO3、FeTi2O5などの間にspinel(Sp)型、ilmenite(Ilm)型、pseudobrookite(Pbr)型の固溶体を形成し、それらは火成岩、変成岩などに少量鉱物として産出する。高圧下でのMg2TiO4、MgTiO3、MgTi2O5の安定関係に関する従来の研究では、MgTiO3の相転移が18GPa程度まで調べられてきたことを除くと、3GPa以下の低圧力に限られていた。本研究では28GPa、1800℃までの条件で、Mg2TiO4、MgTiO3、MgTi2O5の相平衡関係を明らかにした。
1300-1400℃で合成したSp型Mg2TiO4、Ilm型MgTiO3、Pbr型MgTi2O5を出発物質とし、マルチアンビル高圧装置を用いたクエンチ法により、4-28GPa、1000-1800℃の圧力温度範囲での相関係を決定した。
MgTiO3(Ilm)は1200-1600℃、16-20GPaで高圧相に転移し、LiNbO3(Ln)型と考えられる相が回収された。この相は高圧下でperovskite(Pv)型であるが、減圧中にLn型に転移したと判断される(Linton et al., 1999)。21-25GPa以上では、MgO+aPbO2型TiO2が回収されたが、TiO2の高圧相転移の研究から、aPbO2型TiO2は高圧下でbaddeleyite(Bd)型であったと考えられる。このMgTiO3(Pv)からMgO+TiO2(Bd)への転移境界線は正の勾配を持つ。Mg2TiO4(Sp)は1GPaでMgTiO3(Ilm)+MgOに分解し、より高圧ではMgTiO3(Ilm)がPvに転移し、さらに2MgO+TiO2(Bd)へ分解することが示された。MgTi2O5(Pbr)は1-2GPaでMgTiO3(Ilm)+rutile(Ru)型TiO2に分解し、TiO2(Ru)が10GPa程度でaPbO2型に転移し、より高圧ではMgTiO3のIlm—Pv転移を経て、MgO+2TiO2(Bd)が安定になることが示された。このように、Mg2TiO4、MgTiO3、MgTi2O5はいずれも、20-25GPa以上ではMgOとTiO2の混合物に分解する。以上の高圧相の内、Ln型MgTiO3の粉末X線回折データを用いて、リートベルト解析によるLn型構造の精密化を行い、Ti4+、Mg2+イオンが八面体の対称心位置から外れ、その方向が揃うことにより極性構造を持つことを確定した。
今回決定したMg2TiO4、MgTiO3、MgTi2O5の相転移をFe2TiO4、FeTiO3、FeTi2O5の相転移と比較すると、MTiO3(Ilm, Pv) (M=Mg, Fe)が中間の圧力で安定になる点は同じである。しかしFe2TiO4では約15GPa以上でCaTi2O4(CT)型に転移し、FeTiO3ではCT型Fe2TiO4+直方晶FeTi2O5相に分解するため(Akaogi et al., 2017)、より高圧下での相転移様式は異なっている。
1300-1400℃で合成したSp型Mg2TiO4、Ilm型MgTiO3、Pbr型MgTi2O5を出発物質とし、マルチアンビル高圧装置を用いたクエンチ法により、4-28GPa、1000-1800℃の圧力温度範囲での相関係を決定した。
MgTiO3(Ilm)は1200-1600℃、16-20GPaで高圧相に転移し、LiNbO3(Ln)型と考えられる相が回収された。この相は高圧下でperovskite(Pv)型であるが、減圧中にLn型に転移したと判断される(Linton et al., 1999)。21-25GPa以上では、MgO+aPbO2型TiO2が回収されたが、TiO2の高圧相転移の研究から、aPbO2型TiO2は高圧下でbaddeleyite(Bd)型であったと考えられる。このMgTiO3(Pv)からMgO+TiO2(Bd)への転移境界線は正の勾配を持つ。Mg2TiO4(Sp)は1GPaでMgTiO3(Ilm)+MgOに分解し、より高圧ではMgTiO3(Ilm)がPvに転移し、さらに2MgO+TiO2(Bd)へ分解することが示された。MgTi2O5(Pbr)は1-2GPaでMgTiO3(Ilm)+rutile(Ru)型TiO2に分解し、TiO2(Ru)が10GPa程度でaPbO2型に転移し、より高圧ではMgTiO3のIlm—Pv転移を経て、MgO+2TiO2(Bd)が安定になることが示された。このように、Mg2TiO4、MgTiO3、MgTi2O5はいずれも、20-25GPa以上ではMgOとTiO2の混合物に分解する。以上の高圧相の内、Ln型MgTiO3の粉末X線回折データを用いて、リートベルト解析によるLn型構造の精密化を行い、Ti4+、Mg2+イオンが八面体の対称心位置から外れ、その方向が揃うことにより極性構造を持つことを確定した。
今回決定したMg2TiO4、MgTiO3、MgTi2O5の相転移をFe2TiO4、FeTiO3、FeTi2O5の相転移と比較すると、MTiO3(Ilm, Pv) (M=Mg, Fe)が中間の圧力で安定になる点は同じである。しかしFe2TiO4では約15GPa以上でCaTi2O4(CT)型に転移し、FeTiO3ではCT型Fe2TiO4+直方晶FeTi2O5相に分解するため(Akaogi et al., 2017)、より高圧下での相転移様式は異なっている。