JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-ZZ その他

[M-ZZ55] 文化地質学

コンビーナ:鈴木 寿志(大谷大学)、先山 徹(NPO法人地球年代学ネットワーク 地球史研究所)、高橋 直樹(千葉県立中央博物館)

[MZZ55-P06] 日本および諸外国における文化地質学の進展

*鈴木 寿志1 (1.大谷大学)

キーワード:文化地質学、石材、宗教、ミャンマー

文化地質学はザルツブルク大学のフェッタース教授が2003年の論文で提唱した学際的学問分野である。日本では2014年の地質学会学術大会(鹿児島)で初めてセッションが開催された。その後、地質学会をはじめとし、東京地学協会、地学団体研究会などで講演会やシンポジウムが催されてきた。2016年には月刊地球の号外として論文集が発刊された。また地学団体研究会の学術雑誌『地球科学』では第73巻の第1〜2号にかけて「北海道の文化地質学」の特集が組まれた。さらに文化地質研究会が2018年に設立され、毎年3月に学術大会を行っている。また新たな雑誌『地質と文化』が創刊され、精力的な研究成果が掲載されるようになった。このように日本では独自の発展を遂げ、講演や論文が増えつつある。
 しかし本家のオーストリーではどうだろうか。2000年代には文化地質学に関する巡検が行われたり、ウェブサイトで情報発信されていたが、現在は活動が低下傾向である。ヨーロッパの国際学会、たとえば2018年に行われた第21回カルパチア–バルカン地質学連合大会では、文化地質学のセッションが設けられ、口頭発表12件、ポスター発表13件と盛況であった。ただし発表内容は考古試料の化学分析に関するものが大半を占めていた。
 これに対し日本での研究内容はどうだろうか。考古遺物や城郭石垣、明治以降の建築石材などの「材料」としての研究がまず挙げられる。それに加え、地質に関わる文学についての研究(おくのほそ道、宮沢賢治作品など)や奇岩・怪石・磨崖仏といった信仰対象に至るものまで、実に多種多様である。一つには日本の宗教に自然信仰の要素(アニミズム)が関わってくることが大きく影響していると思われる。
 発表者は似たような文化をもつ国としてミャンマーの文化地質学について研究を進めている。ミャンマーは基本的に仏教国であり、さらにナッ信仰という独自の宗教観をもっている。地質学的には日本と同様に変動帯に位置する。来年3月には文化地質学の国際会議が開催される予定である。学際的であると同時に国際的な取り組みも進みつつある。