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[AAS03-03] 衛星搭載型ドップラー風ライダー(DWL)Aeolusデータの同化と台風予測へのインパクト
キーワード:衛星データ、データ同化、台風
欧州宇宙機構(Europe Space Agency: ESA)は2018年8月にドップラー風ライダー(Doppler Wind Lidar: DWL)を搭載したAeolus衛星の打ち上げに成功し、2020年4月からESAのオンラインサイトでL1BおよびL2Bプロダクトデータを一般公開している。DWLでは、エアロゾルや雲粒の流れを捉えることにより鉛直解像度(0.5~2.0m)の高い風プロファイルを得ることが出来る。この視線(horizontal line-of-sight: HLOS)風データを用いた同化実験を実施し、そのインパクト調査を行った。2019年12月末時点の気象庁全球解析・予報モデル(予報モデルは水平解像度約20km、鉛直100層)に相当する実験システムを用い、検証期間は2020年7月~10月の4か月間とした。この結果から、Aeolusデータの同化により風速を始め高度・気温・比湿の予測精度(二乗平均平方根誤差の全球平均値など)の改善が見られた。また、台風進路予測の予報時間3日以降の精度が向上した。進路予測が向上した事例では、太平洋高気圧の日本付近への張り出し具合の予測精度が向上したものもあった。Aeolusが台風中心付近を通過した事例では、Aeolusデータを同化しない実験に比べて、同化した実験で台風上空の発散場をより強める修正量(インクリメント)が入る事例がいくつか見られた。その他、Aeolusにより台風周辺のどのような風プロファイルが観測されたかなどについて発表する。