日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC26] アイスコアと古環境モデリング

2021年6月3日(木) 13:45 〜 15:15 Ch.13 (Zoom会場13)

コンビーナ:竹内 望(千葉大学)、阿部 彩子(東京大学大気海洋研究所)、植村 立(名古屋大学 環境学研究科)、川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、座長:阿部 彩子(東京大学大気海洋研究所)、川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)

14:45 〜 15:00

[ACC26-05] 氷期中の急激な気候変動の駆動メカニズムとAMOCの安定性に及ぼす気候歳差の影響に関する気候モデル研究

*國吉 優太1、阿部 彩子1、シェリフ多田野 サム2、陳 永利1、齋藤 冬樹3 (1.東京大学、2.リーズ大学、3.海洋研究開発機構)


氷期の間には全球規模の急激な気候変動(ダンスガードオシュガー(DO)イベント)が数千年スケールで繰り返し発生したことが知られている。この氷期中の急激な気候変動は、大西洋子午面循環(AMOC)の強度の変化と密接に関係していると考えられている。近年、いくつかの大気海洋結合モデルで、1000年より短い周期のAMOCの自励振動の再現に成功し、主に北大西洋周辺の大気海洋システムの内的要因によるDOイベント発生メカニズムが複数提唱されている。阿部ら東大グループでは、MIROC4mを用いて、それら短周期のAMOC振動に加えて、数千年周期の振動の再現に成功した。さらに、南北両半球高緯度の季節性の変化を生み出す気候歳差の極大値と極小値の境界条件を用いた実験(precession実験)の比較から、歳差が極大の時には比較的短い周期の振動が頻繁に発生する結果を得た。本研究では、precession実験の解析と、歳差の値を南北半球ごとに分ける感度実験から、歳差がAMOCの安定性に与える影響や、AMOCの振動メカニズムに対して南北両半球の季節性がどのように関与しているかを調べた。