日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG29] 中緯度大気海洋相互作用

2021年6月4日(金) 17:15 〜 18:30 Ch.10

コンビーナ:遠山 勝也(気象庁気象研究所)、釜江 陽一(筑波大学生命環境系)、木戸 晶一郎(海洋開発研究機構 付加価値創生部門 アプリケーションラボ)、関澤 偲温(東京大学先端科学技術研究センター)

17:15 〜 18:30

[ACG29-P05] 近年の東シナ海の温暖化傾向が平成29年7月九州北部豪雨へ及ぼす影響

*万田 敦昌1 (1.三重大学)

キーワード:対流システム、潜熱、WRF

世界各地と同様に,日本においても極端降水の頻度は増加傾向にあり,これに対して地球温暖化の影響が指摘されている。しかしながら,その影響を定量化することは容易なことではない。一方,日本近海は全球平均に比べ急速に温暖化しているが,その影響については十分に調査されていない。本研究では平成29年7月九州北部豪雨を事例として取り上げ,日本近海の温暖化が極端降水に及ぼす影響を数値シミュレーションによって調べた。衛星海面水温データの存在する1980年からの海面水温と気温の上昇トレンドによって,海面水温1Kあたりに換算して,12時間降水量は約10%増加することが明らかになった。これは過去のデータ解析結果と整合的であるが,飽和水蒸気圧の変化で説明可能な6%を上回る値である。降水量の増加は対流システムの強化によるものであり,可降水量の増加の影響は副次的なものであることが示唆された。このような対流システムの強化には,海面水温上昇とそれに伴う地表面付近の湿潤化によって生じる,条件付き不安定度の強化が本質的に重要であることが明らかになった。