日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS19] 海洋物理学一般

2021年6月5日(土) 17:15 〜 18:30 Ch.06

コンビーナ:川合 義美(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球環境部門 海洋観測研究センター)、北出 裕二郎(東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科)

17:15 〜 18:30

[AOS19-P03] 観測航海のデータ・サンプル管理:ボヤキからキヅキへ

*富山 隆將1、佐藤 孝子1、福田 和代1、川上 創1、伊藤 誠1、齊藤 千鶴1 (1.海洋研究開発機構)

キーワード:marine obsavation data、online database

海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、研究航海や調査潜航で取得されたデータ・サンプル、あるいはそれらの基本情報(メタデータ)を保管・管理し、研究・教育などを目的とした将来的な二次利用のために公開している。これらの情報公開は、「DARWIN(航海・潜航データ・サンプル探索システム)[1]」を中核とする、一連のオンライン上のデータベース(DB)サイト[2]を通して行われている。

十余年に渡るこの取り組みでは、発足以来、絶え間ない変化があった。データ・サンプルの運用においては、データの収集・処理・公開のワークフローを維持しながら、組織運営や課題採択、研究予算についての新たな枠組み、データ・サンプルの量的増大、情報システムやワークフローの構築・更新などに対応していく必要がある。近年では、学術研究船共同利用航海への参画[3]や、デジタルオブジェクト識別子(DOI)の導入[4]、サンプル情報データベースの統合[5]などの取り組みがあった。予算・人員が年々限られていく中で、これらを実現することは、決して平易な道のりではなかった。

また、個別の研究課題には、共同研究契約や機関間協定、調査・観測の許可申請により、例外的な条件が付与されていることがあり、そのような研究課題の下で取得されたデータ・サンプルについては、その帰属や運用について、特別な配慮が必要となる。例外的といっても、決して稀な機会ではなく、その影響範囲も小さいとは限らない。想定できる問題には対応できる準備をし、想定できない問題についても深刻な影響を回避できる体制づくりが必要である。

本発表では、研究航海・調査潜航のデータ・サンプルの流れを俯瞰しつつ、情報システム・ワークフロー上の工夫や、研究者と各管理部門、組織間の協力体制について述べ、今後の展望について議論する。データ・サンプルの円滑な運用のためには、研究者との協力が不可欠であり、研究者のニーズに寄り添ったサービスと、分かりやすい運用体制の実現が必要である

[1] JAMSTEC DARWINデータサイト:http://www.godac.jamstec.go.jp/darwin/
[2] JAMSTEC NUUNKUIウェブサイト:http://www.godac.jamstec.go.jp/jmedia/portal/
[3] 東京大学大気海洋研究所 大気海洋研究拠点共同利用ウェブサイト:https://www.aori.u-tokyo.ac.jp/coop/
[4] 福田ほか (2020) https://doi.org/10.1002/essoar.10503966.1
[5] 富山ほか (2020) https://doi.org/10.1002/essoar.10504056.1