日本地球惑星科学連合2021年大会

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[J] 口頭発表

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[G-02] 地球惑星科学のアウトリーチ

2021年6月6日(日) 10:45 〜 12:15 Ch.03 (Zoom会場03)

コンビーナ:小森 次郎(帝京平成大学)、長谷川 直子(お茶の水女子大学)、塚田 健(平塚市博物館)、大木 聖子(慶應義塾大学 環境情報学部)、座長:長谷川 直子(お茶の水女子大学)、塚田 健(平塚市博物館)、小森 次郎(帝京平成大学)、大木 聖子(慶應義塾大学 環境情報学部)

11:15 〜 11:30

[G02-07] 地球科学を学ぶ学生向け化学実験の遠隔授業化における工夫と実践

*安井 万奈1、藤村 泰成2、田野 千春3、近藤 文隆3、米持 賢治3 (1.早稲田大学理工学術院総合研究所理工学研究所、2.早稲田大学大学院 創造理工学研究科 地球・環境資源理工学専攻、3.早稲田大学 教育・総合科学学術院 兼 グローバルエデュケーションセンター)

キーワード:地球科学選択学生、化学実験、遠隔授業

新型コロナウィルス感染症により、2020年春学期は多くの大学で、授業を全て遠隔にせざるを得なくなった。地球科学を学ぶ学生に向けた化学実験科目では実験授業を遠隔化する際に、対面での実験ではできなかった新しい提案を試みた。また学生からのフィードバックからその成果を発表する。

実験の遠隔化において最も懸念されたのは、実験操作という技術を継承できないことである。この件に関しては秋学期以降の対面化に期待し、特に実験操作を重視するものに関しては、秋学期以降に行う予定として年間の実験項目を組み直した。
このため、春学期には積極的に分析系の実験を配置した。本来、あまり時間の取れない検量線、最小二乗法などの分析機器を使う際に最低限必要となる、分析における基本的なデータの取り扱い、概念を養うという狙いである。分析機器を扱う映像を作成し、ダミーデータを与え、そこから分析値を導き出し、考察させるという流れで授業を構成した。しかし、地学を学ぶ学生にとって、現実にある物質と、分析しているものとの結びつきを実感できないのは、今後の地学の専門教育を考えた上で非常に不利になると考えた。そのため、キレート滴定を用いた水の硬度分析において、分析に使用する水について河川・湧水など現場に出て水を採取し、その水の採取映像を後背地・湧水の起源などの解説を加えた上で教材として用意した。ここでは、学生によって、実際の物質と分析結果との関わりを想像するという感覚は人によってかなりの差があるという認識を得た。
秋学期においては対面化が実現し、湿式での系統分析操作が可能となった、しかし、新型コロナウィルス感染症第3波の影響で、以降のなるべく対面を避ける工夫として、春学期より難易度の高い機器分析を行い、読み取った数値から自身で推理して考える授業の提案を試みた。これに関しては、本発表メンバーであるTA(地球科学専修修士過程)と相談し、修士論文で取り組んでいるテーマに近い内容(隕石の分析)を、後輩である学生に実際に考えてもらう内容を準備した。折しも「はやぶさ2」の試料が日本に到着した直後であったため、興味を掻き立てるにはいい時期であったのではないかと考える。提出されたレポートについて、その特徴を報告する。