日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG24] 海岸低湿地における地形・生物・人為プロセス

2021年6月5日(土) 17:15 〜 18:30 Ch.12

コンビーナ:藤本 潔(南山大学)

17:15 〜 18:30

[HCG24-P02] マングローブ林における土砂輸送過程への海面上昇影響の一考察-長期変化解析への試案―

*古川 恵太1,2、藤本 潔3、小野 賢二4、渡辺 信5、谷口 真吾5、平田 泰雅4、羽佐田 紘大6、諏訪 錬平7、Lihpai Saimon8 (1.NPO法人海辺つくり研究会、2.笹川平和財団海洋政策研究所、3.南山大学、4.森林総合研究所、5.琉球大学、6.法政大学、7.国際農林水産業研究センター、8.Pohnpei State Government)

キーワード:海面上昇、マングローブ林、セジメント輸送

海面上昇によるマングローブ林への影響を定量的に評価するために、2018年より西表島、ミクロネシア連邦ポンペイ島において短期的な表層侵食・堆積速度の測定を試みている。海面上昇に対して林内の土砂の堆積速度が十分に早ければ、マングローブ林はその変化に適応できるが(藤本ら 1989)、堆積速度が遅いか、侵食速度がそれを上回る場合には海面上昇への適応ができなくなる(Furukawa et.al. 2002)。
 これまでの観測で、海水の浸水時、排水時の短期間にシートフロー状の輸送機構の存在、潮汐による定常的な侵食の発生、時間的に非定常で空間的に不均一な輸送機構の存在などが示唆された(古川ら 2019)。特に上流側からのセジメント供給や林床に存在する微地形(クリーク)などの影響、二次元的な堆積速度、セジメント輸送の測定を試みた。潮汐や降雨の影響も検討するため、大潮期(晴天時)、小潮期(降雨時)の観測を行い、短期的な傾向分析を行った(古川ら 2020)。
 類型化されたセジメント輸送形態を当該区域における気候データに適応し、プロットにおける長期変化傾向を検討するための方法論を検討した。今後、長期連続観測を行うか、いわゆる流出モデルの利用が不可欠であることが示された。
 本研究は、マングローブ林における群落レベルでの海面上昇影響の実態把握の一部として実施されたものである。