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[HDS10-P03] 2018年北海道胆振東部地震により表層崩壊が多発した流域における斜面および河道内の土砂移動
キーワード:2018年北海道胆振東部地震、表層崩壊、土砂移動、土砂供給、火山地域
2018年9月6日未明に発生した北海道胆振東部地震では厚真町・安平町を中心に6,000か所以上で斜面崩壊が発生した。崩壊地から生産された土砂や流木の多くは流域内に残留しており,出水時には土砂移動が生じていると考えられるが,その時空間分布など移動実態は明らかではない。崩壊が多発した地域の表層土壌は主に火山噴出物で覆われており,生産土砂の構成材料は比較的細粒であることから,崩壊土砂が下流域に流出した場合,流水の混濁や水質変化といった影響を与える可能性がある。本研究では,胆振東部地震によって表層崩壊が多発した厚真川水系ハビウ川流域(流域面積0.38 km2)において,裸地化した崩壊斜面の表面侵食や河道に堆積した崩壊土砂に着目し,地震発生後約2年間の土砂移動状況を明らかにした。流域の土砂移動状況は,現地調査を実施するとともに,地震発生直後(2018年)に撮影された航空レーザー測量データ,2020年にUAVで撮影した空中写真を用いたSfM(Structure from Motion)によって得られた標高データを使用し,2時期の標高データの差分解析から斜面および河道内の標高値の変化量を求めた。現地調査から,地震時に生産された崩壊土砂および流木が河道内に多く堆積していることを確認した。さらに,2時期の標高データの差分解析から,崩壊斜面は全体的に侵食傾向だったが,河道内は数10cm程度の範囲で侵食域と堆積域が混在していた。このことから,地震後も崩壊斜面から新たに生産された土砂が河道に供給されるとともに,出水時には河道内で土砂移動が生じていると考えられた。一方,崩壊斜面は南向き斜面のほうが,北向きの斜面より全面的に侵食が卓越しており,ガリーも発達していた。こうしたガリー侵食の進行は現地調査からも確認できた。南向き斜面で侵食が卓越している理由として日射量の違いによる冬季の凍結融解および融雪の影響が考えられる。