日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS11] 生物地球化学

2021年6月4日(金) 10:45 〜 12:15 Ch.16 (Zoom会場16)

コンビーナ:木庭 啓介(京都大学生態学研究センター)、柴田 英昭(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)、大河内 直彦(海洋研究開発機構)、山下 洋平(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)、座長:木庭 啓介(京都大学生態学研究センター)、柴田 英昭(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)

11:45 〜 12:00

[MIS11-11] 生物地球化学モデルによる全球河川脱窒評価

*仁科 一哉1、伊藤 昭彦1 (1.国立環境研究所)

キーワード:全球窒素循環、河川N2O排出

ハーバーボッシュ法による窒素化学肥料や化石燃料燃焼由来の窒素酸化物の環境中への排出、また都市化に伴う廃水の増加によって、多くの人為由来の反応性窒素が陸域で排出されている。これらの反応性窒素は陸域生態系において一部は吸収、蓄積され、また硝化、脱窒等の作用を受けて、ガス態として大気へ放出される。また水の移動に伴って、反応性窒素は陸域から河川を介して、海洋へ運ばれ、特に沿岸域の富栄養化を引き起こしている。陸域から海洋への移動中に、反応性窒素の一部は脱窒過程によって窒素として大気中に放出されるが、そのフラックスは、観測が難しいという制約から非常に不確実性が大きい。Gruber & Galloway (2009) in Nature で紹介されている試算では、河川から年190 Tg-Nが脱窒されている。この試算はSeitzinger et al (2005) in によるものであり、全球スケールの分布型水文モデルを用いて推定されたものである。しかし、この推定では、空間詳細が流域ベースであり、また観測の不足から十分な観測データの検証がなされていない、という問題がある。そこで本研究ではグリッドベースの全球河道モデルを利用し、全球河川脱窒モデルを開発した。また河口域の無機態窒素フラックスの観測データを利用して、ベイズ推定をして脱窒に関わるパラメータを推定した。本研究では、本モデルを利用して1961年から2010年の全球の無機態窒素輸送および河川脱窒放出量(N2, N2O)を報告する。