日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM15] 宇宙プラズマ理論・シミュレーション

2021年6月4日(金) 17:15 〜 18:30 Ch.05

コンビーナ:天野 孝伸(東京大学 地球惑星科学専攻)、三宅 洋平(神戸大学計算科学教育センター)、梅田 隆行(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)、中村 匡(福井県立大学)

17:15 〜 18:30

[PEM15-P11] 夜側オーロラオーバルの極側境界で起こるオーロラ増光現象の発生過程における電離圏分極の数値解析

*森澤 将1、吉川 顕正2、大谷 晋一3 (1.九州大学大学院、2.九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門、3.ジョンズホプキンス大学応用物理研究所)

キーワード:電離圏、電離圏分極、オーロラ増光現象

本研究では、PBIの発生機構解明に向けた電離圏分極の数値解析を行った。PBIとはPoleward Boundary Intensificationの略で、夜側オーロラオーバルの極側境界で起こるオーロラ増光現象のことである。Ohtani and Yoshikawa, [2016] はPBIが電離圏分極によって発生するという考えを提唱した。これは従来考えられていた夜側磁気リコネクション起源説では説明できない観測事実と整合性が取れている点で有力である。この新説を立証するために行われた数値解析では、電離圏分極によりAlfven波が電離圏から湧き上がることを確認した。しかし、その解析では沿磁力線電流に伴う降り込み電子の効果や磁力線に垂直方向の移流の効果を考慮していないため、発生の初期過程しか調べられていない。そこで、本研究ではそれらの効果を取り入れて電気伝導度の時間発展を考慮することで、初期過程以降の進化過程を調べた。その結果、電気伝導度の時間変化には降り込み電子の寄与が大きいことが判明した。この効果により上向きの誘導FACの空間構造が変化し、PBIの南北構造を再現することに成功した。また、初期過程ではホール分極の寄与が小さかったのに対して、進化過程ではペダーセン分極よりも大きな上向きの沿磁力線電流を誘導しており、ホール分極の重要性を示唆した。