16:25 〜 16:40
[PPS04-22] Tomo-e Gozenカメラを用いた微小地球接近小惑星の高時間分解撮像観測
キーワード:小惑星、地球接近小惑星、太陽系、光度曲線、YOPR効果
近日点距離が1.3 au未満である地球接近小惑星 (Near Earth Objects, NEO) の多くは火星-木星間のメインベルトから軌道進化した天体であると考えられている。その軌道進化過程においては太陽や惑星の重力に加え、太陽の輻射に起因して小惑星の軌道や自転状態が変化する非重力効果が重要となる。非重力効果の一つであるYORP効果は微小天体 (直径100 m 以下) に強く作用し、軌道進化のタイムスケールに比べて短いタイムスケールで自転周期を変化させる。高速自転する小惑星には強い遠心力が働くため、YORP効果により自転加速され、構造を維持できなくなる臨界自転周期に達した天体は変形や自転破壊を経験する。このことからYORP効果が強く働く微小NEOの自転周期を用いることで、微小天体の強度を推定することができる。近年、大型サーベイ計画により年間2,000から3,000天体のNEOが発見されており、分以下の自転周期をもつ高速自転NEOが見つかりつつある。各観測装置で推定可能な自転周期は露光間のオーバーヘッド時間に依存するため、分以下の高速自転小惑星の周期を正確に推定するためには高時間分解撮像観測が必要である。これまで得られている小惑星の自転周期は多種多様な装置を用いた観測から推定されているが、全ての観測装置が高速自転を検出できるとは限らない。特に検出が難しい高速自転周期の分布が真の小惑星の自転周期分布を反映しているかどうかは明らかではない。
我々は東京大学木曽観測所105 cmシュミット望遠鏡に搭載されたTomo-e Gozenカメラを用いた2 fps観測により、推定直径3–86 m の37天体の微小NEOの高時間分解光度曲線を取得した。計22天体の微小NEOの自転周期を推定し、この中には自転周期20秒以下の超高速自転小惑星が5天体存在した。本研究で観測したNEOの最短自転周期は約11秒であり、2 fpsの高時間分解観測を行っても秒オーダーで高速自転する小惑星は検出されなかった。微小NEOの系統的な高速観測により高速自転する微小NEOの欠如を示したのは本研究が初めてである。本発表では高速観測を行うことで明らかになった微小NEOの直径-自転周期分布に対し、YORP自転加速を考慮した解釈を行う。微小NEOの直径-自転周期分布は微小NEOの強度が典型的な隕石に比べ小さい、微小NEOは最近地球近傍で生成した天体であり十分な自転加速を経験していない、という二つにより説明することができる。
我々は東京大学木曽観測所105 cmシュミット望遠鏡に搭載されたTomo-e Gozenカメラを用いた2 fps観測により、推定直径3–86 m の37天体の微小NEOの高時間分解光度曲線を取得した。計22天体の微小NEOの自転周期を推定し、この中には自転周期20秒以下の超高速自転小惑星が5天体存在した。本研究で観測したNEOの最短自転周期は約11秒であり、2 fpsの高時間分解観測を行っても秒オーダーで高速自転する小惑星は検出されなかった。微小NEOの系統的な高速観測により高速自転する微小NEOの欠如を示したのは本研究が初めてである。本発表では高速観測を行うことで明らかになった微小NEOの直径-自転周期分布に対し、YORP自転加速を考慮した解釈を行う。微小NEOの直径-自転周期分布は微小NEOの強度が典型的な隕石に比べ小さい、微小NEOは最近地球近傍で生成した天体であり十分な自転加速を経験していない、という二つにより説明することができる。