日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS11] 強震動・地震災害

2021年6月6日(日) 17:15 〜 18:30 Ch.10

コンビーナ:染井 一寛(一般財団法人地域地盤環境研究所)、松元 康広(株式会社構造計画研究所)

17:15 〜 18:30

[SSS11-P23] 2021年2月13日福島県沖の地震(MJ 7.3)の強震動シミュレーション

*長坂 陽介1 (1.港湾空港技術研究所)

キーワード:強震動シミュレーション、2021年2月13日福島県沖の地震、震源モデル

2021年2月13日23時7分に発生した福島県沖の地震(MJ 7.3)を対象に震源モデルの構築と強震動生成メカニズムの解明を目的として、強震動シミュレーションを行った。まずは1つの点震源による修正経験的グリーン関数法(古和田ほか、1998;野津・菅野、2008;野津ほか,
2009)を用いてフォワードモデリングを行った。本手法は、震源をオメガスクエアモデルに従う震源スペクトルとし、これに伝播経路特性、サイト増幅特性、サイト位相特性を考慮したものである。対象地点は福島県、宮城県のK-NET, KiK-netの19地点とし、KiK-netはすべて地表を用いた。サイト増幅特性は野津・長尾(2005)によるものを用い、移設のあった地点は対象から除外した。サイト位相特性は2021年2月15日21時26分の地震(MJ 5.3)とした.

サブイベントの位置は気象庁による震源位置に固定し、試行錯誤により地震モーメントは0.8×1019 Nm,コーナー周波数は0.9 Hzとした。一部の地点は非線形性の影響が見られたため、多重非線形効果を考慮するためのパラメタ(野津・菅野、2008)を導入している。速度波形(0.2-2 Hz)と加速度フーリエスペクトルの観測記録との比較を図に示した.

多くの地点で観測記録の特徴はよく再現できている。一方、大きな揺れを記録したFKS001(相馬)では1-2Hzに見られるピークが再現しきれていない。また時刻歴波形の継続時間も過小評価しており、今後の重要な改善課題であると考えている。フーリエスペクトルの1-2HzのピークはFKS001以外にもいくつかの地点で見られており、震源の影響(相馬方面へのディレクティビティや複数アスペリティの影響)の可能性も含めて検討が必要であると考えられる。今後は他の地点を含めた検討や,震源過程解析の結果等も合わせてモデルを改善する予定である.