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[SVC28-P16] 地殻変動連続記録から推定される2018年霧島新燃岳噴火の時のマグマの動き
キーワード:新燃岳、伸縮計、傾斜計、地殻変動
新燃岳は九州南部の霧島連山を構成する活火山の一つで,近年では2011年と2018年に本格的なマグマ噴火を起こしている活発な火山である.本研究では伸縮計と傾斜計データを用いて,2018年の新燃岳噴火時に記録した変化を解析する.噴火時にどのような現象が地下で起きていたかを空間的かつ時間的に高い分解能で明らかにすることが,本研究の目的である.
伸縮計は京都大学伊佐観測室に設置されている横坑式伸縮計を使用した.伸縮計は基準尺(スーパーインバール)の長さは30 mであり,E1~E3の3成分で構成されている.E1は2018年噴火時の収縮源が推定されている方向,E2はE1と直交する方向に延びている.傾斜計は気象庁高千穂河原観測点と防災科学技術研究所夷守台観測点,万膳観測点の3点の孔井内傾斜計データを使用した.伸縮計や傾斜計は潮汐の影響を受けるため,元データを単純平均により1時間でリサンプリングし,潮汐解析ソフトBAYTAP-G(石黒他,1984)を用いて潮汐補正を行った.気象庁の噴火予知連絡会会報第130号(2018)によると,2018年噴火では3月初めに深部圧力源が収縮したことが分かっており,今回はその期間に着目して潮汐補正を行い,各データを比較し特徴を整理した.
高千穂河原と夷守台の傾斜計で傾斜変化が認められたのは3月6日9時頃からであるが,伊佐の伸縮計と万膳の傾斜計では3月5日午前から変化が認められた.新たな溶岩が火口内に確認されたのが6日であり,伊佐と万膳ではそれよりも早く変化を捉えていた.伊佐の歪変化はE1成分が伸び,E2成分が縮みを示しており,気象庁が新燃岳北西約6kmの地下に推定している圧力源の収縮を反映したものと解釈できる.また,万膳の傾斜計では6日9時頃まで北向き,その後北東向きに沈降方向が変わり,伊佐の伸縮計でも同じく6日9時頃を境に歪変化の速度が変わっていた.
以上をまとめると,2018年の噴火時は火口内に新たな溶岩が確認される前の5日午前に深部で最初の収縮が起き,北東側のより浅い所で2回目の収縮が起きたと考えられる.
伸縮計は京都大学伊佐観測室に設置されている横坑式伸縮計を使用した.伸縮計は基準尺(スーパーインバール)の長さは30 mであり,E1~E3の3成分で構成されている.E1は2018年噴火時の収縮源が推定されている方向,E2はE1と直交する方向に延びている.傾斜計は気象庁高千穂河原観測点と防災科学技術研究所夷守台観測点,万膳観測点の3点の孔井内傾斜計データを使用した.伸縮計や傾斜計は潮汐の影響を受けるため,元データを単純平均により1時間でリサンプリングし,潮汐解析ソフトBAYTAP-G(石黒他,1984)を用いて潮汐補正を行った.気象庁の噴火予知連絡会会報第130号(2018)によると,2018年噴火では3月初めに深部圧力源が収縮したことが分かっており,今回はその期間に着目して潮汐補正を行い,各データを比較し特徴を整理した.
高千穂河原と夷守台の傾斜計で傾斜変化が認められたのは3月6日9時頃からであるが,伊佐の伸縮計と万膳の傾斜計では3月5日午前から変化が認められた.新たな溶岩が火口内に確認されたのが6日であり,伊佐と万膳ではそれよりも早く変化を捉えていた.伊佐の歪変化はE1成分が伸び,E2成分が縮みを示しており,気象庁が新燃岳北西約6kmの地下に推定している圧力源の収縮を反映したものと解釈できる.また,万膳の傾斜計では6日9時頃まで北向き,その後北東向きに沈降方向が変わり,伊佐の伸縮計でも同じく6日9時頃を境に歪変化の速度が変わっていた.
以上をまとめると,2018年の噴火時は火口内に新たな溶岩が確認される前の5日午前に深部で最初の収縮が起き,北東側のより浅い所で2回目の収縮が起きたと考えられる.