日本地球惑星科学連合2022年大会

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[E] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI30] Open Science with FAIR Science Data Sharing and Management and e-Infrastructures

2022年6月1日(水) 11:00 〜 13:00 オンラインポスターZoom会場 (34) (Ch.34)

コンビーナ:村山 泰啓(情報通信研究機構 NICTナレッジハブ)、コンビーナ:Cecconi Baptiste(LESIA, Observatoire de Paris, CNRS, PSL Research University)、近藤 康久(総合地球環境学研究所)、コンビーナ:Stall Shelley(American Geophysical Union)、座長:村山 泰啓(情報通信研究機構 NICTナレッジハブ)、近藤 康久(総合地球環境学研究所)

11:00 〜 13:00

[MGI30-P02] 伊能忠敬の磁針測量方位角原簿から19世紀初頭の日本の郷土史地理の緯度経度1″未満の地点と地磁気偏角を同時解析する。

*辻本 元博1、面谷 明俊2 (1.日本地図学会、2.山陰システムコンサルタント)

キーワード:地図測量家伊能忠敬、伊能図、磁針測量方位角原簿国宝「山島方位記」、地磁気偏角、郷土史地理

<予 稿> 国宝「山島方位記」は日本人地図測量家伊能忠敬による大日本沿海輿地全図或いは伊能図と呼ぶ日本最初の測量地図(三万六千分の一・二十一万六千分の一、四十三万分の一)作成の為の1800年~1816年迄の北海道東岸から屋久島迄の推計約20万件の精度0°05′単位の磁針測量方位角を記録した67巻の陸上測量原簿である。
「山島方位記」には0°05‘単位の精度の磁針測量方位角、磁針測量実施基点、測量対象地点が名称や短い記述と共に記録されている。
伊能測量隊は磁針偏差(地磁気偏角)の補正を適用せずに測量を実行した。なぜなら測量出発前に伊能は江戸(東京)で磁針偏差の測定を試みたが、殆ど0度であった。 伊能は日本地図の測量上の磁針偏差の影響は最小であるとの仮定で遂行した。測量地域は北海度絵北東岸から西日本の屋久島迄に及ぶ。しかしながら長い日本列島では各地方の磁針偏差は異なる。測量実施基点及び測量対象地点の概略位置を山島方位記や伊能図に記された磁針測量方位角、或いは測量日記に記された場所の名称、近代初期の測量地図、現代のコンピューター地図、GPS、郷土史書、同地図等と照合することから始める。
真方位角から磁針測量方位角を差し引いた地磁気偏角がどの測量対象地点に付いても同一或いは近似になる測量実施基点の詳細位置をエクセル計算式を使って逆算することができる。
郷土史の史料やコンピューター地図と再度照合し、詳細な位置を調整する。 我々は国宝「山島方位記」から測量実施地点詳細位置(緯度経度0.2秒台目標)及び測量対象地点。真方位、地磁気偏角の異分野同時解析をしている。この異分野同時解析をせずに国宝「山島方位記」や「伊能図」の詳細内容を読み取ることはできない。 伊能忠敬の「山島方位記」からの19世紀初頭の日本の測量実施基点及び測量対象地点の詳細位置と地磁気偏角の復元の重要性が認識されなければならない。伊能図上に描かれた方位線に記された角度との関係も調べる。