11:00 〜 13:00
[MIS11-P01] 大岐の浜の砂の起源について(土佐清水ジオパーク)
キーワード:土佐清水ジオパーク、貝砂、花崗岩
土佐清水ジオパークは,高知県の西南部にある土佐清水市とその沿岸海域をエリアとし,2021年9月25日に日本ジオパーク委員会から日本ジオパークとして認定された日本で44地域目のジオパークである.当ジオパークの運営を担っている土佐清水ジオパーク推進協議会は伝承すべき地質・地形遺産等を明確にするために25のジオサイト,5の自然サイト,4の文化サイトを設定している.
自然サイトのひとつとして設定した「大岐の浜」については現地案内板が乱立状態であり,記述内容も含めて整理する必要があるとジオパーク新規認定の現地調査の際に調査員の先生方から指摘を受けたところである.この指摘を受けて改めて調査したところ,現地の案内板のみならず既存の各種観光案内(日本の道路100選,土佐清水市観光地情報など)すべてにおいて,大岐の浜の砂は足摺岬に由来すると記述されている.この記述の根拠を調べていくと,国立公園を選定する際に高知県が取りまとめた「足摺国立公園候補地基本調書」(昭和43年12月)にある地質調査報告書(執筆 甲藤次郎高知大学教授(当時))を緒としていることがわかった.その後甲藤氏は高知県国民休暇県局(当時)が1988年に発行した「土佐の自然」において,この見解を「貝殻やサンゴなどの砕かれた白砂が堆積したいわゆる貝砂層である」と訂正しているが,この刊行物は学術書ではないため,おおもとの報告書の記述を否定するには十分ではない.その後,有田・須藤(2006)は,大岐の浜の砂は貝殻・砂岩・頁岩から構成されると観察結果を残しているが(地質ニュース,No.620),にもかかわらず世紀がかわってもなお花崗岩が風化した砂であるとの記述が絶えない.
推進協議会事務局は,エリア内の地形・地質等の解説の整理の一環として,大岐の浜について科学的な裏付けを持った説明を付すことを目的として,砂を構成する成分について,JAMSTEC高知コア研究所等と共同して分析評価を行った.土佐清水ジオパークエリア内の他の砂浜との比較対象を行った上で,大岐の浜の砂は一部花崗岩起源の鉱物が認められるものの,主成分は炭酸カルシウムであり、サンゴや貝の粉砕物からなることが確認できた.今後この成果を積極的に公表することにより,これまでの“定説”を改めるための第1歩となるよう関係者間でこの知見を共有し,機会を得るごとに周知を図り,案内板等の解説を改めていけるように働きかけていきたい.
自然サイトのひとつとして設定した「大岐の浜」については現地案内板が乱立状態であり,記述内容も含めて整理する必要があるとジオパーク新規認定の現地調査の際に調査員の先生方から指摘を受けたところである.この指摘を受けて改めて調査したところ,現地の案内板のみならず既存の各種観光案内(日本の道路100選,土佐清水市観光地情報など)すべてにおいて,大岐の浜の砂は足摺岬に由来すると記述されている.この記述の根拠を調べていくと,国立公園を選定する際に高知県が取りまとめた「足摺国立公園候補地基本調書」(昭和43年12月)にある地質調査報告書(執筆 甲藤次郎高知大学教授(当時))を緒としていることがわかった.その後甲藤氏は高知県国民休暇県局(当時)が1988年に発行した「土佐の自然」において,この見解を「貝殻やサンゴなどの砕かれた白砂が堆積したいわゆる貝砂層である」と訂正しているが,この刊行物は学術書ではないため,おおもとの報告書の記述を否定するには十分ではない.その後,有田・須藤(2006)は,大岐の浜の砂は貝殻・砂岩・頁岩から構成されると観察結果を残しているが(地質ニュース,No.620),にもかかわらず世紀がかわってもなお花崗岩が風化した砂であるとの記述が絶えない.
推進協議会事務局は,エリア内の地形・地質等の解説の整理の一環として,大岐の浜について科学的な裏付けを持った説明を付すことを目的として,砂を構成する成分について,JAMSTEC高知コア研究所等と共同して分析評価を行った.土佐清水ジオパークエリア内の他の砂浜との比較対象を行った上で,大岐の浜の砂は一部花崗岩起源の鉱物が認められるものの,主成分は炭酸カルシウムであり、サンゴや貝の粉砕物からなることが確認できた.今後この成果を積極的に公表することにより,これまでの“定説”を改めるための第1歩となるよう関係者間でこの知見を共有し,機会を得るごとに周知を図り,案内板等の解説を改めていけるように働きかけていきたい.