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[SEM15-P03] 西之島2014-2015年溶岩からの微小領域磁気分析用薄片の作製と磁気マッピング
国際標準地球磁場モデル(International Geomagnetic Reference Field, IGRF)が決定されている1900 年以降に形成した火山岩(歴史溶岩)は、古地磁気強度絶対値(API)推定法の信頼性を検証するための「天然標準試料」として有用である。伊豆・小笠原諸島の1つである西之島では、近年、とくに活発な噴火活動が見られ、新たな溶岩流の形成が繰り返されている。山本ほか(2021SGEPSS)では、2014-2015年にかけて形成した溶岩について、西之島西岸の8地点から採取された岩石ブロック試料から整形した全岩試片を対象として「綱川・ショー法」によるAPI測定を行っている。全ブロック試料から測定されたAPIの平均は41.3μT、標準偏差は4.4μTとなり、西之島の位置における2014-2015年のIGRF-13 (Alken et al., 2021)によるモデル磁場値の41.7μTを10パーセント程度以内の精度で推定できていると結論したが、さらに推定精度を向上させるためには、微小領域にも着目したAPI測定法の開発に取り組んでいく必要がある。そこで、これらのブロック試料から微小領域磁気分析用薄片(磁気分析薄片)を作製し、Oda et al. (2016)により開発された、試料表面の磁場を ~100 μm 程度の空間分解能で高感度に測定できるSQUID顕微鏡を活用して磁気マッピングを行った。
磁気マッピングは、薄片面から垂直方向に発生する磁場を走査することで行うため、後の解析を容易とするためには測定対象試料の自然残留磁化(NRM)の方向と直交する方向に切り出しを行い、磁気分析薄片を作製する必要がある。このため、まず、同じ岩石ブロックの隣接試料からNRM方位を把握したうえで一辺約10 mmの立方形状の小ブロックを切り出した。次に、20 mm角の合成石英ガラス板に対して、小ブロックのNRM方位がガラス面上向きとなるように600℃以上の耐熱性のあるセメント系接着剤を用いて貼り付け、厚みが30 μm程度になるように最終研磨を行い、磁気分析薄片を準備した。これらの過程では、産業技術総合研究所・地質標本館薄片室からの協力を得た。現在、2地点のブロック試料から準備した磁気分析薄片それぞれ1枚のNRMの磁気マッピングが完了しているところである。本発表では、これらの結果について報告する。
磁気マッピングは、薄片面から垂直方向に発生する磁場を走査することで行うため、後の解析を容易とするためには測定対象試料の自然残留磁化(NRM)の方向と直交する方向に切り出しを行い、磁気分析薄片を作製する必要がある。このため、まず、同じ岩石ブロックの隣接試料からNRM方位を把握したうえで一辺約10 mmの立方形状の小ブロックを切り出した。次に、20 mm角の合成石英ガラス板に対して、小ブロックのNRM方位がガラス面上向きとなるように600℃以上の耐熱性のあるセメント系接着剤を用いて貼り付け、厚みが30 μm程度になるように最終研磨を行い、磁気分析薄片を準備した。これらの過程では、産業技術総合研究所・地質標本館薄片室からの協力を得た。現在、2地点のブロック試料から準備した磁気分析薄片それぞれ1枚のNRMの磁気マッピングが完了しているところである。本発表では、これらの結果について報告する。